そして、俺とイオンは食料庫に入った


「そういえば、何で食料庫に用があるんだ?」
「実はこの村の食料が何者かによって盗まれてるらしいのです」
「それでイオンはそれを調べに?」
「はい」
「そうだな…ドワーフの誓い第二条、困っている人を見かけたら必ず力を貸そう…だしな!」
「ドワーフの誓い?」


あ、そっか…こっちの世界にはドワーフはいないのか…じゃあ、エルフやハーフエルフもいないのか…?


「ああ、俺がいた世界にはドワーフがいたんだよ。で、今のはその誓い」
「良い心がけですね」
「まぁ…そうなのかな?で…ここに何か手がかりがあるのか?」
「そう願っているのですが………これは…」


イオンは急にその場にしゃがみこんだ。俺も同じようにしゃがみこむ
イオンは何かの毛のようなものを摘んでいた


「何だ?この毛…」
「これは…聖獣チーグルの毛です。恐らく、彼らが食料庫を荒らしたのでしょう」
「チーグル?」


さっきのブウサギみたいにこっちの世界の生き物のことなんだな…


「東ルグニカ平野の森に生息する草食獣です。ローレライ教団の象徴となっています」
「チーグルのことは分かったけど…ローレライ教団とか…アニスが言ってたフォンマスターガーディアンとか…」


この世界のこと全然分かってねぇ…って、誰も教えてくれてねぇじゃんか!
後で教えてもらえるといいんだけどなー…リフィル先生やジーニアスが一緒にいたらよかったんだけどな


「そうでしたね…すみません、僕としたことが…」
「別にイオンが謝ることじゃねぇって!なぁ、後でこの世界のことについて教えてくれねぇか?」
「はい、是非!」


俺たちは証拠品のチーグルの毛を持ったまま、ジェイドが向かったローズさんの家に向かった
あれ、そういえばアニスはまだなのか…?まぁ、後で会えるか