今年私は憧れの女子高へ入学した。自分の目指す進路のため、というのはただの名目に過ぎなくて。本来の理由は可愛い女子に囲まれて自分のおしゃれへの関心を刺激しようというもの。それともう一つ。年下の彼氏に変なヤキモチを焼かないようにするため、なんていったら皆さんは不憫に思うだろうか。
 
 
「明王、私バイト始めたんだ」
「ふーん。あっそ」
「学校前のコンビニなんだけどね、店長さんが何だかとっても良い人そうなんだ」
「・・・」
「明、王?」
「・・・その店長って男?」
 
 
それ以来、私のシフトの日はほぼ毎日明王がバイト先に来るようになった。
大抵は最新の週刊誌をチェックしたり、店内をぐるりと何周かした後にスポーツドリンクを一本買って帰っていく。時たまにだけれど「せいぜい頑張れよ」なんて(私にとっては)温かい言葉をかけてくれる。私はいくら明王といえど勤務中に油を売るなんて出来ないから手を振り返すだけ。明王は事情をわかってくれるから何も言わずにお店から出て行く。
 
 
「何で明王は、毎日来てくれるの?」
 
 
正確には毎日ではないのだけれど。たまたまお互いが休日で私の家に遊びに来ていた明王に聞いてみると、明王は呆れ顔で「はぁ?」と言ったきりそれまで読んでいた雑誌に再び目を落としてしまったのだった。
・・・俯いたって頬がほんのり赤いのは隠し切れてない。質問したのに明王が黙ってしまうのは私が愚問を発した時だ。店長は男の人だといっても40過ぎた既婚の方というのは説明済みだし、明王がうるさいと思ってあえて女子高の近くのコンビニにした。
 
それでも明王は私を心配してきてくれる。そう、口にこそ出しはしないけれど明王は私を愛してくれている。バイトだから仕方ないとはいえ私が自分以外の男の人と接するのが激しく怖い。明王はとっても寂しがり屋。
 
「安心してね、私が好きなのは明王だけ」
 
 
不動明王の彼女がアルバイト
 
こんな年下彼氏が、大好きよ。
 
 
 



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -