*一万キリ番フリリク
 
 
 
午後一番の授業は眠い。どこの国でもどんな人でも、大抵の人が一度はそう感じたことがあると信じたい。
昨晩は快眠したはずなのに、眠い。ちなみに私の現在の座席は決して日当たりが良い席ではない。ぽかぽかなんてしてない、断じてない。横から入ってくる光は天からの使いが地上に降りてくるための通り道に違いない。そして眠いのは私のせいではない、人間のメカニズムのせいなのだ。
 
今すぐ机に突っ伏したい。でも今年の現代文の担当教師は厳しい。居眠りしている生徒に容赦ない。授業終了まであと30分、耐えられない。寝たい。みんな眠くないのだろうか。くるりと教室中を見渡せば隣の席を除いて、ほぼ全員が黒板の文字を板書している。
 
…どうやら隣の源田君は私とご同類らしい。教師の目を盗んでか、あるいはサッカー部員として優遇されているのか。彼は厭に整った寝顔をこちらに向けている。そうだよね、現代文の授業なんて眠くなるに決まってるよね。なんて眠っている彼にテレパシーを送ってみるが届くことなんて永遠にないだろう。彼は髪型を見ても分かる通り、我々一般人とは異なる次元の住人。ましてや何の変哲もない普通の私の存在自体が彼の記憶に止まっているのかすら謎だ。
 
 
嗚呼、今日も馬鹿みたいに空は晴れ渡っているから。この陽だまりが彼と私だけのものだとわけのわからない空想をしてしまうのも仕方ないのだ。
上手に働かない頭が導き出した結論は、私も彼と同じように。
 
 
In The Sunny Place.



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「美希、いい加減起きてよ美希!うちらもう帰るよ!!」
 
 
友人に叩き起こされた時には、現代文の授業どころか6限目の数学の時間も終わっていた。ありがちなシチュエーション。やはり私は平々凡々な一般人だ。
 
「源田君に上着、返しておきなさいよ」
 
…でも、異なる次元にいると思っていた彼の、たとえ頭の片隅にでも。私の存在は確かにあったらしい。優しい彼、源田君の存在は間違いなく天から舞い降りてきた使いそのものだ。上手に働かない頭が導き出した二つ目の結論は、やたらとロマンチックだった。
 
肩から感じたのは日光と、彼のぬくもり。
 
 
 
 
 
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リクエストありがとうございました^q^
遅くなったうえにこのクオリティ。申し訳ございません。
 
 
2011.04.18


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