佐久間とは幼馴染 兼 恋人な関係。
お互いの誕生日は必ず一緒にお祝いする。
 
今日は私の誕生日。
前から佐久間と隣県へ行くことを計画していた。
昔はよく双方の家族合同で行った水族館。今は佐久間の部活が忙しくてなかなか行けないのだけれど、私も佐久間も水族館が大好きだ。
 
何故水族館が好きかって・・・それは皆さんもよくご存知のことだろう、彼はペンギン皇子と名高いのを。
私もペンギンは好きだ。だが佐久間の"好き"は異常なのだ。コレは後にわかることだから置いておこう。
 
 
佐久間が私を迎えに来た。朝7時半に。
今日着る服を選んでいた私は佐久間がこんなに早く来るなんて予測していなかったため、下着姿のままだ。
ノックなしで突然開けられたドアに唖然としていたら佐久間はずいっと大きい包装を私に差し出して、にこっと笑って、
「美希、誕生日おめでとう」
なんて言うから、怒ることも忘れて幸せな気持ちになった。
 
 
電車に揺られてバスに乗って、水族館に到着した頃にはすっかり乗り物酔いした佐久間。
でも私はわかってるよ。もう少しで佐久間のテンションはただ上がりする。
 
 
 
「うあああああああ!!アリエル!!スージー!!コロンビーヌぅぅぅ!!!」
 
 
佐久間はペンギンの水槽にかれこれ2時間は張り付いている。
3匹の雌のキングペンギンたちと数年ぶりの再開を果たしたらしい。ちなみに名前は佐久間が幼少期に勝手に付けた名前(本名はユキ、ハナ、ココロ)。
正直一緒にいるのが恥ずかしい私は、最初の数十分こそ一緒に見ていたものの今は近くのベンチに座ってその様子を眺めている。
 
その姿は普段サッカーをやっている時のクールな彼からは想像がつかない。
通り過ぎていくお客さんは佐久間を必ず怪奇の目で見るのだが、アニメや漫画でよくある、見ちゃいけません状態。
ペンギンの餌やり見学も子供に混ざって最前列で眺めているし、餌やり体験に選ばれて、幸せそうなを顔している。・・・というかこれで選ばれるの人生6回目のはずなのにいつも同じ表情なのだから笑える。
 
 
結局3時間ペンギンと交流をして、ようやく私の元へ戻ってきた佐久間。
 
「ごめんな、エレオノーヌが可愛すぎて・・・」
「いいよ、佐久間が楽しそうで何よりだから」
 
私の誕生日なのに、私よりペンギンのほうを優先しちゃうのはちょっと寂しかったけど、私ももう中学生だし、我慢しなくちゃ。
館内のレストランで食事をとり(ここでも佐久間は"わくわくペンギンランチ"を注文していた)、売店でお揃いのペンギンのキーホルダーを買った。
 
帰り道、いまだ興奮が冷めない佐久間は今日出会ったペンギンについて熱心に語ってくる。数年前とはここが成長した、とか、俺と目が合ったとき手を上げてくれたとか。
ペンギンは細かいところまで見ているのに、本当に私のこと見ていてくれたのだろうか。私はやきもちを妬いて、最後の最後に佐久間を困らせることを言ってしまった。
 
「ねー、佐久間は私とペンギンどっちが大事?」
 
何気なく繋いでいた佐久間の手が一瞬ぴくっと動く。
表情を伺うと顔に滝汗をかきうんうん唸っている。そんなに悩むほどのことなのか。
 
 
「・・・どっちも、ってだめ?俺、美希と美希から貰ったペンギンと、どっちも大事」
 
皇子のやくそく
 私の脳内は自分の幼少期の出来事がフラッシュバックする。
それは佐久間の誕生日に初めてこの水族館を訪れた時のこと。
 
(じろっ!!これぷれぜんと!!)
(わー!!ぺんぎんのぬいぐるみ!!おれとおなじくらいでっかい!!)
(ままとえらんだの!じろ、ぺんぎんずっとみてたから!!)
(ありがとう!!だいじにする!!)
(いつかぺんぎんさんとおなじくらいわたしのことだいじにしてね!!)
(うん!やくそく!!)
 
 
ペンギン皇子は私がつくってしまったらしい。
選べなくてごめん、と幸せそうに笑う皇子。
私はいつかこの人の一番のお姫様になれるのだろうか。
 
 
 
 
 
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waaaaaaaaah!!
ごめんなさいごめんなさい!!
さっくんが変態みたいな書き方してゴメンナサイ!!
さっくんのネーミングセンスを疑ってください!!
きっとどこかに渚の趣味が混ざっています!!
リクエストありがとうございました!!☆
 
 




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