今日は珍しく明王が学校を休んだ。
あまりに衝撃的すぎて休み時間にメールを送ったら、『今日は雨だから休む』って返事が来た。理由になってないよ、明王。
 
担任も明王が休んでびっくりしてるみたいだった。
何だかんだで優等生な明王を気遣って、私にプリントだのノートのコピーだのを届けるように言ってきた。
私達が付き合ってることは学校側も把握しているらしい。明王って特待生だから色んなところで注目されて大変みたい。
 
とにかく傘をさして私の家から徒歩数秒の明王家を訪問する。
あらかじめ行くことは伝えてあるから、呼鈴を鳴らすと明王がすぐ玄関に出てきてくれた。
 
「なんだよ、わざわざ来なくてもいいっつーの」
「明王に一日会えなくて寂しかったし、いいの」
 
私がそう言うと顔を背けられた。コレは照れ隠し、明王って私が素直に物を言うとよくこうする。
明王の部屋に通してもらい私達は並んでベッドに腰掛ける。今まで明王が寝ていたからか、かすかに残るぬくもりが布越しに伝わってくる。それを感じるのに全神経を触覚に集中していたら会話するのを忘れちゃって、放置された明王がちょっと怒ってた。
 
「私不器用だから、明王みたいに完璧なのが羨ましいよ」
 
勉強も出来る、サッカーが得意、二つ以上のことを同時に出来る、明王は私の彼氏でありながら憧れの人。お世辞なんかじゃない。明王は本当に格好いい。
・・・なんて私が一人でべらべらと喋るから、気付いた時すでに遅し。今度こそ明王が黙ってしまった。
 
話題を探すためにあちこちを見渡す。
ふと窓の外を見るとさっきまで静かに降っていた雨が止み、夕やけ空に数色の光の輪がかかっていた。
 
「ねぇ明王。私、雨が好き。寂しい時に一緒にいて、私の代わりに泣いてくれるから。たくさん泣いた後に虹が出るの。虹を見つけたら、一番最初に明王に教えてあげる。」
 
明王は「はぁ?」って顔してる。
だから優等生な明王に、愛だけは一人前な私から教えてあげるね。
 
「大好きな人と虹を見れたら、すっごく幸せなんだよ」
 
 
 
明王はまた私から顔を背けて、でも今度は私の手を握って、小さく「馬鹿」って呟いた。
 
 
 
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お粗末さまでした><
雨シリーズ、これにて完結!!
最後の最後に幸せ満開なお話が書けて嬉しい。
管理人は雨が大好きです。一緒に泣いてくれるから(爆)
雪には負けますけどねっ←雪大好き。
 
お付き合いいただきありがとうございました!!
 
 


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