今日は稲妻町で神社祭が開催される。
祭りは嫌いではない。毎年夕香と行くのだが、今年は友人と行きたいと言っていたので夕香とは行けなくなってしまった。
 
 
そういえばこんな言葉を聞いたことはないだろうか。
 
"神社祭は亡き人を労るための祭り、毎年亡くなった人の涙が雨となって降ってくる"
 
俺はこれが本当だと信じている。
証拠に、今年も例外なく降っている。本当に誰かが泣いているかのように、静かな雨が。
祭りを純粋に楽しむのは小学生までだ。中学生にもなればこのように祭り本来の意図を理解しながら楽しまなくてはならないと思う。
 
・・・堅苦しい話は置いておくが、こんな雨の中、夕香なしに出かける気にもなれなくて円堂あたりに声をかけようかと手にした携帯をベッドに投げ捨てた。
今日は家で勉強しよう。頑張れば今日中に夏休みの宿題も終わるだろう。
 
 
夕方、携帯が鳴った。知らない番号からの着信だった。「・・・もしもし」
『もしもし、豪炎寺君ですか?中野です。』
 
相手は同じクラスの中野だった。番号は鬼道から聞いたらしい。
 
『突然なんですけど、今日お祭りですよね?』
「・・・あぁ、そうだな」
『もし豪炎寺君が嫌でなければ、私と一緒に行きませんか・・・?』
 
予想していた通りの内容だった。
俺は今まで中野と大して接点がなかったため最初は断ろうとしていたのだが、あまりに中野が必死に頼んでくるものだから断るに断れなかった。
 
待ち合わせは18時、会場から近いコンビニで落ち合うことになった。あと30分しかない。俺はすばやく準備をして外へ出た。
 
 
雨はまだ降っていた。
俺は傘をさしながら歩いて指定されたコンビニへと向かった。
待ち合わせにはまだ10分もあるはずなのに、中野はもう外で待っていた。
 
(浴衣・・・)
 
「あっ・・・豪炎寺君」
 
こちらに気付いた中野が恥ずかしそうに小さく手を振る。
いつもと雰囲気が違う彼女を見つめることしかできない。今の俺はどんな顔をしているのだろうか。思わず口元を手で覆う。 
「豪炎寺君、雨、もう止んでるよ?」
 
 
夏夕の涼、雨上がり
 
 
笑っている姿がこんなに上品に見えるのはきっと浴衣のせいだ。
俺の顔が赤くなるのはきっと中野が俺を笑ったからだ。
 
「行こう、豪炎寺君」
 
中野が急に可愛く見えるようになったのは、きっと夏の悪戯だ。
 
俺と中野は二人、雨上がりの澄んだ夜空の下。
 
 
 
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渚が何をしたかったかというと、豪炎寺をデレさせたかったのですwww
だって彼、人にボールをぶつける時と夕香ちゃん関連の時にしかデレを感じないから・・・(‘・ω・)
豪炎寺さん難しいっす。鬼道さんと口調の区別をつけるのが。基本豪炎寺さんアニメで喋らないから・・・中途半田でごめんなさい><
投票ありがとうございました☆

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