雲ひとつとない青く晴れ渡る空。それはとても綺麗なんだけど、私としては少し残酷だったりする。どこにいても変わらない色は上から私を見下しし続け私を嘲笑っているのだろうか。
いつからか、どうしてこうなった。なんで私が。だとか考えなくなって今こうして生きている時間を精一杯生きることにした。私が望まずそこに存在していたとしても、私は此処にいる。それが現実だと解釈するしかなかった。



「今日はこんなもんかなぁ」

手についた土を払い一人満足げに丹精込めて作った自慢の畑を眺めていれば「先生」と聞こえてくる声の数々。
それは確実にこちらへと近づいてきて、ぽつりぽつりと見えた彼らは村の子達。
その両手にはたくさんの野菜が抱えられていた。

「先生っ!お母さんからなまえ先生にって!昨日は本当に有り難うございましただって言ってたよ!」
「わあっ立派な野菜達だね。そんなに気をつかわなくてもいいですよーって伝えといてね」
「えー!だって先生お金受けとってくれないんだもん!お母さん困ってたよ」
「俺の母上も言ってたぞ!いつもお世話になってるのにそれ相応の代金受け取らないから先生の生活が心配だってさ!」
「あはは…それを言われちゃったら私の負けだね」

あらら、どうやらみんなに心配かけさせちゃってるみたい。


「なにか困ってることあったら言ってね先生!」
「そうだぞ!体調悪かったら必ず伝えること!!」
「ただでさえ一人なんだから!」

「はいはい。わかりました」

お前達は私のお母さんか。
軽く受け流せば子供達は頬を膨らませ私に喝を入れる。

「もー!ちゃんと聞いてるのー!?はい、は一回!先生が教えてくれたのに!」
「は、はい!ごめんね有り難う」

何を隠そう、私は一人暮らしをしています。
……っていうのはたいしたことじゃないんだけど女一人で生活しているのはどうやら珍しいみたい。しかも自給自足生活頑張ってます。とはいってもこうやって村人達が私に野菜やら漬物やらと現物をくれるから、それでかなり助かっているわけ。

そして余談だけれど私は医療関係の端くれ。診療とか整体とか動物達の不調を診る仕事をしています。たいした技術は持ってないけど村の人達にとって大変助かる職業らしい。よって村人から「先生」なんてもったいないコトバで呼ばれていたりする。

お互いにないものを渡して助け合う。
それはとても喜ばしいことで彼らに感謝せずにはいられない。



「そういえば今日みたらし団子を作ったんだ。みんな上がってく?」

話しながら私は子供達が抱える野菜を手に取った。

何気ない私の一言なのだが、目をまるくしてこちらを見た子供達はなんて可愛いんだろう!
そんな彼らの姿に甘味なんてそれほど食べられる代物じゃないと子供達がそう言ってたのを思い出していた。

「えっいいのっ?」
「もちろん。断られたら逆に悲しいなぁ…」
「や、やったー!!」
「はやく行こうよ先生!」
「先生の作る菓子本当に美味しいんだよなぁ!」

「あはは。そんなに急がなくても団子は逃げないよー」




この空の下を歩く
(私は此処にいるんだよ)




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