家が好きです。でも家に帰るにはどうしたらいいのかわからないので引きこもりと化した私、なまえです。したがって今はシンサマさんが提供してくれた部屋が好きです。誰とも会わないし気を使わなくていいし楽だし。でもゲームも漫画もテレビだってないからこの有り余った時間をどう使おうかと持て余してる。はじめはニート万歳とか思ってたけどやることがないとこうも暇とは思わなかった。本当に残念なことに暇つぶしができないの。一日が長い。
あるとするなら本と本と、本だけ。うん。限られた選択しかない。少し考えて、しかたなしに隅で丸まってシンサマさんに借りた本を読むことにした。22巻あるとか読む気無くしてたけどしかたないね。そしていつか趣味は読書(本物)ですとかになっちゃうかもしれないね。…お?ちょっと素敵かもしれない。今まで読書(漫画)しか言えなかったからね。ニュータイプな私が誕生する日も近いぞ!!

「よー!なまえ!!」
「ノックしてから入ってきやがれこの白髪野郎」

ケッ。シャルさんだ。前のときも部屋へ勝手に入ってきて気持ち悪いだ何だ言ってましたからね。悪質な人だろうとは思ったけどやっぱり勝手に入るのはいただけないよね。一応私にもプライバシーってのがありますからね。ノックさえしてくれてたら私だって笑わなかったよ。変な笑い方なんてしてなかったのに。

「あ?」
「やめて。その冷酷な眼差しやめて。でも入る場合は合図くらいあってもいいかなとか思うんですがシャルさんそこんとこどうでしょう?」
「その通りだぞシャルルカン、女性に対して失礼だ」
「??!」

え?誰。何この人誰。
シャルさんのうしろから現れた新たな男の人にビックリした。なんだかんだいって私ってば人見知りですもん。シャルさんだけかと思ってたんですもん…。

「突然おしかけてすみません。スパルトスです。始めまして」
「ご…ご丁寧にどうも。私なまえです」

凄くいい人そう。シャルさんよりいい人には間違いなさそう。
思わず私まで丁寧な言い方になってしまった。スパルトスさんですね。ちゃんと一回で覚えるよ。えーと…スパスパの実のスパルタスさんね。…あれ。

「本当俺に対していい度胸だよななまえって」
「ほら、出だしが最悪でしたからね君は」
「…本人を前によく言うよお前」
「お互い様じゃないですかね?今更ですよ、ふふ」
「それもそうか。嫌味のひとつやふたつ言い返さないとなまえっぽくないもんな」
「アンタ私を一体何だと思ってるんだ」

これでも弁えてる、はず。なんですよ。ええ、誰がどう言おうとも。


「それで今度は一体何のご用でしょう」
「この部屋に引きこもりがいるって聞いてな!」

私のことか。

「なあなあ暇なんだろお前」
「暇じゃありません」
「今日飲みに行こうぜ!」
「暇じゃありません」
「よっしゃ!じゃあ行くぞー!」
「ちょ、君、少しは言葉のキャッチボールくらいしませんかね!?!?」

半ば強制的に決まりだな!とシャルさんは私を部屋からだそうとする。いやいやいや何を勝手に決めてるのか意味がわからないよ。壁に張り付くようにして拒否してもダメらしい。なんだなんだ。なんで私が誘われなきゃならないんだ。

「のの、飲みってお酒のことですか」
「当たり前だろ!お前と飲んだことないって思ってさ」
「すみません。私未成年なのでお酒はまだ飲んじゃいけないんですよ」
「は?なにそんなのあんの?」
「そうですよ!だから残念ですけど今回は辞た」
「よし!今日がなまえの酒デビューだな!パーッとやろう!ヤムライハとかピスティも行かせるからな!」
「チクショウ話聞けよ!!!」

ダメなんだってば!
ギャイギャイ二人で騒ぎ立てていればシャルさんと一緒にきた人が彼を止めた。

「シャルルカン、嫌がってる女性を無理矢理連れていくのはやめないか」

え?え?今私のこと女性って言ってもらえた?なんていい人。この人いい人すぎて感動すら覚えるよ。な、なんか嬉しいな…照れちゃうなぁ…

「スパルタスさん…」
「スパルトスです」

はい、わたしアウトー



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