新しい服買ってあげると躍起になってるヤムライハ。ヤムライハの優しさはほんと有り難いけど、ちょっと彼女に申し訳が立たなくなり頑なに拒否を繰り返してる。そうするとお古を譲るって話が持ち上がっているのだが、冷静に考えてほしい。彼女の服をなまえに着こなせるのか。胸的な意味で。露出的な意味で。…無理だ。

「やっぱりダメかしら…」
「やっぱりって何、やっぱりって………さ、さり気なく胸の盗み見はツライよやめて」

自分のと見比べて私を見ないで。視界に入れてほしくないレベル。ヤムさん自身もダメ元で聞くとか羨ましさが一転、恨みたくなるレベルだ。

「じゃあ他の子から貰いましょうか」
「チッこれだから胸のデカい奴は」
「……。ストレスも溜まってるのね。ならカルシウム不足もあるんじゃない?牛乳のむ?」
「それで解決したら世の中苦労しないんだよヤムさん!!」

切実だった。ちょっとドヤ顔かますヤムさんに溢れ出る嫉妬心。チクショウ、美人で巨乳って一体どんな生活したらそうなるんだ。クソッ
ハンカチ持ってたら絶対噛んでた。姑みたいにキリキリってなってた。危ない女子力なくてよかった。



「あら!ピスティがいるじゃない!いいところに!ピスティ!!ちょっと来て!」
「あ、ヤムじゃん!やっほー」

ヤムさんが向こうの廊下を歩く女の子に声をかける。するとこちらを確認しパッと顔を綻ばせやってきた。うわあ…この人ちっこいなぁ。

「この子なまえちゃんっていうの」
「なまえちゃん……ああ!なるほど!この子が例の、王サ」
「あ、そういえばピスティ、ジャーファルさんが怒ってたわよ。またなにかしでかしたの?」
「え?あー…ジャーファルさんが怒るっていったら彼のことかな。やだもうバレちゃった?彼氏持ちは辛いわぁ」
「いい加減にしなさいよピスティ。交友関係が広いのはいいけどジャーファルさんが疲労で倒れちゃうわ」
「えへへジャーファルさんには我慢してもらうしかないよねっ」
「…ジャーファルさんかわいそう」
「ねえちょっとお二方、完全に私の話題をスルーしてるよね?例の?例のって一体なに何なの…、今私のこと認識してます??」

とにかくジャーさんが苦労していることはわかった。どこにいても女の子は酷いのは定説だった。ほんと十分にわかった。だけど中途半端に切られた私の会話はどうなったの。ねえねえ。あれで終了とか言っちゃいます?そんな酷いです意味深な区切り方ですよそれ。私は我慢できない続きを説明してもらわないと。………え?スルー?もしかしてスルーし始めてるのかな?

「ヤムってばなまえちゃんと友達になったの?」
「友達?…そうね、友達かしら。私なまえちゃんとは魔法を語り合いたいわ」
「はは…魔法とか願い下げですね」
「もう!なまえちゃんってばシャイなんだから!」
「勘違いも大概にしとけよマジで」
「え?二人とも魔法友達ってことなの?」
「ええ。そうよ」

ダメだ。話聞いてくれない。まあいつものことですよねわかります。別になにも悲しくなんてないんだから…っ
そんなことを思っているなまえの手を、ピスティが握る。自身より低い彼女はにこりと笑顔を向けた。

「じゃあ私達も友達よね」
「えっ」
「友達の友達は友達だもの!」
「なんてジャイアニズム…こわい」
「えっ」
「えっ」
「いやなの?」
「め、滅相もない」
「やった!これで二人目の友達ね!」
「…。ピス………ちゃんって」
「ピスティよ」

ごまかせなかった。いやでも正確には紹介まで行き着いてなかったから名前言えなくても仕方ないよね。流れ的にはセーフに違いない。そう思いたい。残念な目を向けられているのも気のせいだと思いたい。

「ピスティちゃん切ないっすね。こんな私でもまだ友達いますよたぶん」
「う、五月蝿いわね!そんな顔しないでよ!量より質なのよ私は!」
「さいですか」
「あー!信じてないでしょう!」
「…いや、どうでもいいかなって(そんなこと思ってないですよ)」
「本音と建前が逆よなまえちゃん」

間違えた。しまった間違えた。

「ぐぬぬっ。いい?なまえちゃん、これでも私きっと貴方より年上よ?」
「…はあ。まあ身体的な問題は貴方のせいじゃないですからね」
「やだ!どこみて言ってるのよ!ヘンタイ!なまえちゃんのヘンタイ!」
「言わせる気ですか今ここでピスティちゃ…さんをまな板だと」
「言ってる超言い放ってる。もう!なまえちゃんひどい!信じられない!」

ムキャーといきり立ちながらヤムさんに駆け寄るピスティちゃ…さん。彼女私より年上なのか。信じられない幼女じゃないなんて…

「ごめんねほんとごめんね。まな板とか私も似たようなもんだから。ヤムさんに比べたら死にたくなるよね」
「そ、そうよね。どうして男の人ってこういうのが好きなんだろうね!なまえちゃんは話がわかる人だ!これからは貧乳友達としてなまえって呼ぶわ!なまえもさんはなしよ!」
「…私、貧乳友達はちょっと…」
「そこはわかったって言ってよ!」

だって貧乳とか…切ないじゃない…



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