ドリーさんの家に来てみたらそこに本人の姿はなく、体中ボロボロの人間が二人と鳥が一羽いた。一人はドリーさんの家である巨大な骨の下敷きにされていて、また一人は首から下を地面に埋められている。鳥はといえばそんな二人の土をクチバシで掘り起こしているみたいだった。

「君達は誰、ですか?」

わたしの発言のあと微妙な空気が流れて次の言葉に詰まった。……。うーんこの状況だと意味がわからないなぁ。そんなとき口を開いたのは巨大な骨の下敷きにされ身動きがとれない人間の方で。

「ああ!もしかして巨人のおっさんが言ってた奴はお前か!」
「え?あ、巨人ってことはドリーさん?それともブロギーさんから?」
「お前ブロギー師匠のことも知ってんのか!?」
「あー。うん二人には世話になってるんだ」

土に埋まっていた人間もブロギーさんの名前に反応して声を張り上げた。そうかそうか。この埋まってる人達は二人の知り合いなのか。…あり?

「というかなんで埋まってんの」
「おいルフィ、こんなモタモタしてる場合じゃねーぞ!」
「なあお前!なんでもいいからここから出してくれねェか!俺達動けねェんだ!」
「クエー!!」
「それは見てれば、……うん、わかった。君達を出せばいいんだよね」

疑問なんて後回し。どうしてか今はそうしなきゃと思った。聞くならその最中でいいし。でも少し、気になるから…

「ねえ。わたしはその急いでいる理由を聞いてもいいかな」



ドリーさんの家にあった人間用のスコップを取り出しザクザクと土を掘る。そんなわたしの耳に入ってきたのはとんでもないお話だった。…どうやらわたしはノンビリし過ぎていたようだ。




「――それは本当に、君達が仕組んだことじゃないんだよね」
「違う!俺達はこの誇り高い戦いの邪魔なんかしねェ!やった奴らは分かってるんだ!」

カクカクシカジカと簡潔に説明された話にスコップを握る手に思わず力が篭った。
ことの発端は彼らが譲った酒に爆薬が仕込まれていたこと。それは自分達ではない別の奴らが仕組んでいたことで、ドリーさんがその酒を飲んでしまいお腹の中で爆発してしまった。それだけではない。直後、決闘の合図である真ん中山が噴火しその傷ついた体でブロギーさんとの戦いに行ってしまったこと。止めたかった止められなかったと人間は悔しがった。
彼の言葉にまさかそんなと耳を疑いたくなった。だって、だって…

――エルバフの神はな、常に正しき者に加護を与え正しい奴を生き残らせるのだ。

――始めたからには何が起ころうと逃げぬ。これは俺達の誇り高き決闘だ。

――まだ十数年しか生きてないお前にはまだわからないかもな。

――我等は戦士。誇りは宝。


そうやって二人はわたしに言っていたんだ。大事な決闘を他の人に邪魔されたものなんか、彼らの言う決闘じゃない。
それに彼らの仲間も、その決闘を汚した人達に捕まってしまったらしい。だからこそ一刻もはやく奴らのもとへ行かなければいけない、と。

「あいつら巨人のおっさん達の決闘を汚しやがって!」
「チクショー!許さねェ!!」
「クエー!!」

ようやく二人が動けるようになれば、各々感情に任せ声を荒げる。そんな様子を見ているときゅうんと聞き慣れたシロちゃんの声。ふと地面に視線を向けるとシロちゃんの隣に麦わら帽子があったので拾ってみた。誰のだろう?と首を傾げていれば麦わら帽子見て「それ俺のだ」と骨の下敷きにされていた人間が言ったので、そのまま帽子を手渡した。帽子を被った彼は満足そうだ。

「そういやお前名前なんて言うんだ?」
「なまえ、だけど」
「俺ルフィだ!」
「俺はウソップ。んでこのカルガモがカルーだ!」
「クエッ!!」

さらりと自己紹介を済ませる彼らにわたしはただあっけらかんとするばかりだ。えっとルフィに…ウ、ウソッチョにカルーか?…いきなり三人の名前を覚える自信はない、けど。うん、覚えた…と思う。

「ようし!なまえも一緒にぶっ飛ばしに行くか!」
「いや、君達とは別で行くよ。あとで君達に協力するね。わたしも二人の邪魔をされたのが許せないのは同じだから」

そういえばルフィが「わかった」と一度頷いて駆け出す。

「なまえありがとうな!」

それじゃまたあとで!、そういって二人と一匹はジャングルへと消えて行った。…なんともまあ嵐のような人達である。



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