父上は誰よりも強くなれといった。
母上は優しくありなさいといった。
兄弟は自分らしく生きろといった。
家族はたとえ何があろうとも、私達はお前の味方だよといった。
そんな優しい家族、父上と母上に兄と姉の末っ子として育てられたわたしは唐突に家から追い出された。挙げ句、父上はわたしに海を渡れといったのだ。理由は簡単。“お前は海を渡りいろいろな世界を見てこい”と。強くなるまで帰ってはくるなよ、そんなオマケも添えて。
いつか、きっと。
胸を張ってこの地へ戻れるように。わたしはこの故郷を、家族を、赤い目に焼き付ける。
貴方の旅路が無事でありますよう
どうかお気をつけて