「さみーなんか着るもんねェかな」

ガチャリと扉を開けて入ってきたのは肩を摩り白い息を吐き出すルフィだった。改めて彼の格好をみてみれば肩を出して半ズボン、挙げ句に履物はサンダルという軽装だ。よくその格好でいままでいれたな…なんてツッコミを入れたくなるわけで。だって外の気温マイナス50度だよ。絶対ありえない。だからこそすごいよルフィと褒めたい気持ちもあったりする。だってわたしには真似できないもんね!

「あり?なんかなまえ変わったか?」
「え…っ!?あ、うん、ナ、ナミに前髪切ってもらった!」
「へー!そうか!ちゃんと目が見えるな!にししっ」
「う、うん」

ルフィはすぐに気づいてしまった。挙げ句にまっすぐ目を見てくるものだから気恥ずかしくなって視線をちょっと逸らしてしまう。ああもうそんなに見られたら恥ずかしい!そんなわたしを見兼ねてかナミがルフィに声をかけてくれた。

「で?あんた達は外でなにやってんの」
「ケンカしてるんだ」
「けんかぁ?大丈夫なんでしょうね」
「おう!問題ない!」

なるほど。あっさりとした答えに納得。確かにシロちゃんの耳がピクピク動いていたし、外がなんだか騒がしいとは思っていたからそういうことか。

ナミから上着を借りてすぐ部屋を出ていくルフィ。あっさりケンカと言っていたけれどルフィとサンジって病人だったよね?それにくれはさんとチョッパーは巻き込まれてないだろうか。うーむ…。ちょっと心配になったのでわたしも行ってみようかなぁ。


「ナミ、わたし外の様子見てくるよ」
「あら行っちゃうの?なら私も行こうかしら」
「え!?駄目です!ナミはしっかり寝てないと!シロちゃんナミのことは任せたよー」
「きゅお!」
「ん。いい返事!」

シロちゃんの頭を一撫でしてから扉へ向かう。ほんとシロちゃんかわいい。

「…ずっと騒がしいようだったら見に行くからね」
「じゃあ早く済ませないとね」

背にかかった言葉に振り返り笑った。









城の外に出るとくれはさんがいた。奥にはルフィとチョッパー…それと見慣れない方達もいる。おお。あれがケンカ相手ってことかな?

「訳のわからん奴がまた出てきたぞ」
「アイツも麦わらの仲間か!」

「だれ?」
「「テメェが誰だ!!」」

向こう側にいる人達がわたしを見ていきり立つ。彼らが一体誰なのか首を傾げて見ているとくれはさんがわたしを呼んだので隣に居させてもらうことにする。

「ここに着く前船を襲ってきた奴だ」
「わ、サンジ!踏まれてどうしたの」

下から声がしたと思えばそこにサンジがいた。しかもくれはさんの足に踏まれてるだなんて一体どういうことなんですか意味がわかりません。……そんな考えが顔に出てたらしくドクターストップを食らったのだと教えてくれた。
さてさて。メリー号を襲った奴らの一人がこの国の王だという。確かあのときウソップが船食べられたーだとか言ってたような。

「まさかこの国の王様だったとはなァ」
「…元、さ。今この名も無き国に王様はいないよ」

嗚呼、彼か。国が海賊に襲われたとき戦うこともせず国民をおいて一目散に逃げた王様というのは。ビビが怒りを抱いたあの姿を思いおこすとなんだか私も腹が立ってきたぞ。

「ならば元王様にはこの国からお出になって頂かないとね」

国を捨ておいたのだから、そうでないと不公平でしょうに。これでは振り回されたこの国の人達があまりにも不憫。謝罪も何もなくあの態度では話にもならない。



「お前は手を出さなくていいよ」

動き出そうとしたわたしをくれはさんの言葉が止める。ルフィとチョッパーが戦うのを見つめ、あの二人に任せときなと腕を組んで前を見据える姿は格好良いとしかいいようがない。
そしてその下に倒れてるサンジを再び見て場違いに吹き出してしまったのは申し訳ないと思う。



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