医者を探す。うん。探すとわかっていたのに医者の特徴すら聞かなかったわたしは馬鹿だと思う。町でたった一人しかいない医者を探すって大変じゃない?知らずのうちにすれ違いになっている可能性だってあるよね。参ったなぁ

「この国にいる医者がどんな奴かって?トナカイ連れたボッタクリのえげつねェ医者だよ」
「あの医者は歳は100超えてるばあさんだぜ。あ、もし診てもらいたいんなら気をつけな」
「医者かい?この道をもう少し進んだ店で診察してるよ」

しかし不安を余所に情報は集まった。この国の医者は随分と長生きしたお年寄りなのか。たったひとりでこの国の患者を診るなんて…なんて大変なんだろう。むしろ自分の体調の方を気にした方がいいんじゃないか?
……でもボッタクリとか気をつけなってどういうことなの。


うむむと疑問に思っていると、調度道の先にあるお店のドアがギィと開いた。「そのハッピーを忘れるんじゃないよ」、という声と共にひとりの女性が。それに続くように出てきたのはトナカイさん。…………トナカイだ!!青い鼻なんて珍しい!



え?な、まさかの!もう見つけました!これは間違いなく隣にいらっしゃるのが医者だね!
じいーっと見つめていれば向こうがわたしに気づいたらしい。むしろあれだけ見ていたのだから気づかれない方がおかしいか。いけないいけない早く話し掛けなければと。そそくさと医者の方へ向かえば見下ろされた。…え、な…100歳を越えたおばあさんだという情報の筈なんだけども。

「貴方がこの国の医者、ですか?」
「なんだいお前は」

想像と違ったんだけど!びっくりするほど元気っていうかお腹にへそピアスしてるとか。なんていうか寒そう!それに、

「わ、若い!」
「ほう?お前は見る目があるねえ。医者を探しているってことは患者がいるのかい?どれ診察料は安くしてやろうかね」
「ほんとに?!あのですね、女の子がひとり高熱出してるんです。おばちゃん助けてください!」


「……さあ行くよチョッパー」

「あの?え、ええええ!?」

あれ?な、なんかいけないこと言っちゃったんだろうか!?いきなりスルーされたんだけど!医者じゃないの?いやでも患者とか診察って言ったってことは医者で間違いないってことだよね!

「ちょ、ちょっと、待っ!本当に危険な子がいるんだ!」
「口の聞き方に気をつけな!あたしゃピチピチの139だよ!クソガキが!」

ええええー

元気良すぎだろー!……じゃあなくて!どうにか話を聞いてもらわなきゃいけないのに!なのに医者は病人の話は無視と決め込んだのかわたしの話をスルーするばかり。ああどうしよう!どうしよう!

「ドクトリーヌ、病人がいるんだって」
「病人?」
「うん。ずっと40度越えの熱を出してるみたいだ」
「ただの熱じゃないのかい?」
「話を聞く限り命に関わるかもしれないよ」

…ど、どうやらシロちゃんがトナカイさんと話をつけてくれているらしい。このトナカイはきゅうきゅうと鳴くシロちゃんの言葉がわかるのか。すごい。さすが動物どうしだ。……それに比べてわたしときたら…人間との会話も成り立たないなんて…とても残念だ、ぐすっ

「わたしの言葉は無視ですかおねえさん…」

ちらりと医者のおねえさんを見上げれば彼女がフゥとため息をつきながらわたしを見る。

「事情はわかったよ若僧。んでその病人とやらはどこにいるんだい」

お、おねえさんんん!!叫びそうになった声を喉に押し込めてルフィ達が向かった山を指す。


「あの山に向かって行ったんだ」
「はあ?お前の仲間は馬鹿野郎なのかい?」
「と…とにかくお願いだ!」

どうやら診てくれるみたい!わたしもあの山をどう登っていくのか気になるけど、気にしないことにした!きっとルフィ達ならできる!到着できる!だからわたしは医者を呼び戻すのみ。


医者のおば…おねえさんはお前も乗ってくかい?…なんて言いながらニヒルに笑う。その姿があまりにも格好良すぎの男前すぎてトキめいてしまいそうだ。即座に首を縦に振ってついて行けばソリがある。これであの山に行くらしい。ソ、ソリにトナカイ…!これはまさしく

「サンタさん…!」
「何言ってんだい。とっとと乗りな置いてくよ」

前触れもなくバシィと頭を叩かれた。地味に痛い。
そそくさとソリの後方座席に座ればトナカイに引っ張られ動き出した。よかった。これで任務完了だな!

「ヒーッヒッヒ。この私を急がせたこと高くつくからね」
「それはカンベンしてください」

うわあ…本当に毟り取られそうなんだけど。



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