ルフィとサンジ、そして病気のナミを見送り、まちぼうけなわたし達の耳に隣の町に魔女が来たという情報が入ってきた。
すなわち三人が向かった場所には医者がいないということになる。最悪なタイミングで入れ違いだ。

「ルフィ達追いかけようか?」
「いや。後を追ってもあいつらの脚力に今からじゃ追いつけねェ」

ウソップの言葉に、道のない山は危険だとドルトンさんが付け加える。…ということは。次の選択肢はひとつ。医者を見つけること。

「急いで隣町に向かおう。私がソリを用意…」
「じゃあわたし先に医者を追っかけてくる!」
「え?」
「わたしこれでも速いんだよ」

三人が呼び止めようとするもわたしはそそくさと走る。善は急げ、だ。




雪道の動き難さはよくわかっている。だから移動手段として地面よりか木々を飛ぶ方がいいだろうと考えた、けど。まさか枝に積もる雪に足を取られてしまうなんて予想だにしていなかった。踏み外したわたしはそれはもう綺麗にズルッと地面へ落ち、大の字に雪へと埋もれた。なんて危ない。でも雪が積もってて本当によかったと思う。一人でへへっと自分の失態に照れていれば隣できゅうんという鳴き声がした。シロちゃんが乗れ、といっているようだ。…あれ?しかもなんか、心配した眼差しを向けられているような気がしなくもない。………。

「とりあえず頼んだ、シロちゃん」
「きゅう!」

名前を呼べばぼふんと白い煙が立ち込めシロちゃんを包む。次にシロちゃんが姿を現したとき肩に乗れるほどだった姿はわたしを超える姿へと変わり、しなやかに尻尾を揺らした。いつもの鳴き声より少し凛々しい声を奏で、後ろ脚を屈めてわたしを見つめた。頭を撫でいつものようにその背中に跨がればシロちゃんは軽やかに走り始めた。



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