森の中から新たな人が現れた。彼が先ほど此処にはいないと言ってたサンジという人らしい。ドリーさんとブロギーさんを見て驚きわたしを見て「お前らがMr.3か!?」だなんて言ってきた。まったくもって心外だ。
そんな彼にも一悶着があったようで、かくかくじかじかとさっきあったことを話す。内容から察するに、彼らには抹殺命令が下されているのだとか。しかも今はMr.3にやられ死んだことになっているとか。……なんという物騒な人達。それにアラバスタというビビの国が一刻を争うほどに切羽詰まっている状況らしい。よくかわらないけど変なことに足を突っ込んでいそうだなぁ。
急がなければならないのにこの先に進めない彼らだったが、サンジの手にアラバスタのエターナルポースがあったのだから驚きだ。さっきの一悶着の際に手に入れたとのこと。それを見てさっきまで意気消沈していたみんなの顔が喜びに変わり、ビビに「ありがとう」と抱き着かれたサンジは鼻の下を伸ばしてデレデレしてた。女ったらしか。

急ぎこの島を出ようと動き出した彼ら。急な船出の動きにドリーさんとブロギーさんは残念そうだったが、国に関わることゆえ止めることはできない。国が無事だといいなとビビに言えば彼女はにこやかに笑いお礼を述べた。



「ああそうだ。お前達、なまえを一緒に連れていってくれないか」
「なまえは島から出る手段がなくて困っていてな」

そして二人から出た言葉にわたしはあはははと笑うしかなかった。わたしが直接言うつもりだったことを先に言われてしまった。いや、むしろどう切り出そうか悶々と悩んでたから凄く助かったわけだが。きっと心配してくれてたんだなぁ。

「なんだ、そうなのか?」
「うん。君達さえよければ、お願いしたいんだけど」

数ヶ月前からこの島に住んでいた理由は島から出る手段がないだけで。あの数ヶ月前を思い出すと残念でしかない。

「航海中、嵐に遭遇するわ船は壊れるわログポースも壊れるわ。それでも偶然この島に漂着したんだ。ほんと死ぬかと思った」
「災難だったわね。まあ、よく生き残れたわねっていう方が正しいかしら」

海で遭難して生きてること。ましてやグランドラインという航路で迷うことは死を意味するに近い。そんな悪条件でわたしは無事に島へたどり着いたのだ。これぞ奇跡というものかもしれない。いや、やっぱり偶然の方がいいのかな。んー…悪運か?

「昔っから変な運だけはあるんだよね」

こんなこと自慢ではないけれど。絶体絶命のピンチになっても最終的には生きてるからわたし的にはオールオッケーで済ませてる。生きてナンボさ。

「で、もしよかったら次の島まで連れてってもらってもいいかな。君達に迷惑はかけないよ」

さっきドリーさんとブロギーさんが言っていた通り次の島へ行くのにここで1年ログをためなくてはならない。まあ私はログポースすら壊れていたから1年経ってもこの島から出ることはできないんだけども。ここで彼らを見逃したら次のチャンスはいつくるやら。こうして普通に会話ができるんだ。逃すなんてとんでもない。

ああ。わたしはやっぱり運がいい。

「なあなあ!なまえはなんで次の島に行きたいんだ?旅してんだ?」
「えーと旅の出だしは無理矢理追い出されたからなんだけどね、途中で気づいたんだ。わたし旅が好きなんだなあって」
「追い出されたってアンタ…」

こうして旅すること。世界を見ること。一歩踏み出せばそこにはわたしの知らないものがたくさん転がっていた。知りたいこと見たいものもたくさんあった。

「海とか空とか、いろんな島を見るのって楽しいんだよね」
「わかる!わかるぞそれ!」

そう言えばルフィはしきりに頷いて肯定をしてくれる。なんとなくわたしもルフィを見てたら、わかってくれるような気がしてた。

「よぅし!!なまえ!お前は今日から俺達の仲間になれ!」
「……え?」


なか、ま?


「しししっ一緒に冒険しよう!」
「?…いや、わたしは次の島まででいいんだけど」
「いいかなまえ、俺の船に乗るってのはそういうことなんだぞ!」
「え?そ、そうなの?」
「当たり前だろ!なまえはバカだなー」
「そ…そっか。わたしはバカなのか?」
「バカはあんたよ!んなわけないでしょうが!」

スパーンと思いっきりルフィの頭を叩くナミ。

「お前またいきなりそんなことを!」
「えーいいじゃん!なまえいいやつだし!俺気に入った!」

他の仲間達も止めに入るが、ルフィは決めたと一点張り。もう聞く耳ももってない。そうして彼は言ったのだ。

「これは船長命令だ!!!」

腕を組みどーんと構えた船長の口から放たれたそれに彼の仲間達は“またはじまった”と言わんばかりに頭を抱えていた。えっ…え?…こ、このどんよりした感じは一体何だ。

「なんかごめん、ね?」
「なまえが謝ることじゃないわ。いつものことよ」
「言いだしたら聞かなねーからお前も覚悟しとけよマジで」

覚悟って。

わたしが覚悟するのか?



「と、とにかくなまえちゃ…なまえさんを船に乗せるのは構わないんじゃないかしら。船に乗せてもらってる私が言うのは違うけど、困っているようだし…」
「まーね。今は寄り道さえしなきゃいいわけだし」
「えっほんと!?助かる!有り難う!」

今は船に乗せてもらえるだけで満足。二人の賛同に思わず跳び上がった。

「無邪気だな」
「無邪気だ」
「性別ともかくガキそのものだな」

「そこ!聞こえてるぞばかー!」

ゾロの言葉をわたしは見逃さない!ガキはあまり言わないでほしいんだぞチクショーめ!



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