ぼんやりと瞼を開いた。…。おかあさんと二人で住んでいた1LDKとは違って今日は一人部屋、もとい今日から一人部屋。前まではおかあさんと二人でずっと生活をしていくのだと思っていたのに。見ていた世界がこうもあっさりと変わるなんて人生ってわからないよね。

いまでは私には新しいおとうさんがいて、新しい家に来ないかと誘われて。本来なら両親の仲を邪魔しないように一人暮らしでもよかったんだけれども、その選択肢はいつの間にかなくなっていた。


「おいなまえ、飯出来たって」

ああそう。この家には新しいおとうさんだけじゃなく息子の鉢屋三郎もいるんだった。
あれ。家族構成でいえば彼と私はどちらが上になるんだろうか?…なんてふと思ったけど考えるだけ無駄かと自己完結したらすぐにどうでもよくなった。

「まだ片付けてなかったのか」
「うん、まあ…」

まだ片付けきれていない自分の部屋にはダンボールがちらほら。ぶっちゃけ私物なんて整理してない、のに。この部屋にはいつの間にかテレビやテーブル、ベッドが当たり前のように備え付けてあった。はじめて入ったときは割り当てられた部屋を間違えたと思い確認したけれど間違いじゃないと言われ、『気に入らなかったのかい?』と控えめに聞かれ、部屋の位置か家具かそれとも別に何か他の…うんぬんかんぬんと心配された。私にしてみればこの部屋を気に入る気に入らないとかいう問題ではかったわけなんだけど…でもまあ用意してくれたから有り難く使わせてもらおうと思う。
ちなみに隣は鉢屋三郎の部屋だと言われ意味もなくギョッとした。


ついこの間までおかあさんと二人1LDK暮らしをしていた為か私の基準が小さいのはしかたなしに認めるけど、それにしてもデカくないか?他の家の事情はわからないけど私にしては大きく感じる。その疑問は自分の頭の中だけではおさまりきらず鉢屋三郎を見ていたらついつい口にしていた。

「でかい」
「なにが?」
「なんか、全体的な意味で」
「そうか?」
「…ひょっとして鉢屋三郎くん家はお金持ち?」
「今更な質問だな。つかノリ長すぎ、まだフルネームで呼ぶのかよ」
「いや、ついつい…」

否定も肯定もしないっていうのはそう解釈してもいいのかな。まあ、でもそうなんだろうなぁ。


「そんなのどうでもいいだろ。ほら行くぞ」
「おわ…ちょ、自分で歩くから!」

背中を押され部屋を出る、いや出される。慌てふためく私の言動に鉢屋三郎はやけに楽しそうに笑っていた。



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