結局私はずっと鉢屋三郎と行動を共にしている。自分の席に着いて一息ついてる中でもひょっこり鉢屋三郎が私の前の席に腰掛けてニッコリしてる。おいおいそこにいたらその席の子が迷惑だろうに。


なんて余計なことを考えてれば、ガララと教室のドアが開きボサボサ頭の竹谷八左ヱ門が入ってきた。一年生のとき同じクラスだったから彼を知ってる。
誰に対しても対等に接し、その明るさゆえかクラスのムードメーカーになる才能を持ってるが、如何せん勉強ができない人と認識してる。だって去年は私と居残り補習を受けてたりするからね。勉強なんてクソ食らえ同盟を組んだ仲でもある。そんな竹谷はクラスのみんなからおはようと口々に声をかけられながらこちらへと向かってくる。なぜこちらに来る…、と。どうやら私の前の席は竹谷だったらしい。

「おほー珍しい組み合わせだな」
「竹谷おはよう」
「はよハチ」
「おはよ!またみょうじとは同じクラスだな!よろしく!三郎もよろしくなー!」
「よろしくー」
「ああよろしく」

そこでピタリ、と竹谷が固まった。私と鉢屋三郎を交互にみては首をかしげる。

「あれ、そういや三郎ってみょうじのこと知ってたっけ?」
「知ってはいたよ。でもこうして話したのはつい最近からさ」
「だよな。俺見たことねーもん」
「あ、そういえば…知ってたっていうけど、なんで知ってたの」

これに関しては私も疑問だった。私の記憶上では話をしたことなんてないし、学校で目立つようなことはしてない。なのに鉢屋三郎は食事会で会ったとき、私を知ってる様子だった。うむむ…謎である。

「さて何故だと思う?」

疑問に疑問を重ねられ、楽しそうな顔で私をみる鉢屋三郎。教えてくれそうにないから「じゃあいいや」とだけ返しておいた。教える気がないなら知らなくていいし。

「まあ、クラスも一緒だと分かったことだし。改めてこれからよろしくな」
「…いろんな意味が含まれすぎてるみたいで私はこわいよ鉢屋クン」
「いろんな意味って?」
「ううん、なんでもないよ独り言」

竹谷の言葉に気にしないでと返しはしたけど、その言葉に寒気がしたのは気のせいじゃないはず。当の鉢屋三郎はといえば小さく笑いを零しながら呑気に窓の外を見ていた。外の桜は綺麗である。



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