ヴァリアーに入った経緯を話すことになった。
初っ端だけ聞いて、フランは素直な感想として、

「いきなり波乱万丈ですねー」

という感想を述べた。
勿論、フラン自身とていきなり捕獲されて連行されている。
お互い様だとおも思う。

「そう思う?」

「だってそうでしょー。キモオカマにベル先輩にアホ隊長ってー」

「・・・」

「お疲れさまでしたー」

「どうも」

先輩や上司に対しても物怖じしない。何て図太いのか。
術師というのは大体こうなんだろうか。

「ってことでもう死んで良いですよー」

「・・・今の流れで?」

「苦労したんですよね。もう十分でしょ。さようならー」

「・・・・・・」

図太いのは好きなとこだが、嫌いでもある。
しかしどうにも、フランのことは基本的に可愛がりたい。
理由はない。なんとなくだ。
自分がそういう風に思ったことが今までなかったので、新鮮でいい。
よくベルがフランを殺そうとするから、一緒に居ると厄介だけど。

散々可愛がっているけど、彼がそれを迷惑がっているのか否かがわからない。
それゆえに、こういった「もう死ねば?」という発言が本気なのかもわからない。
もともと感情希薄な私が、表情の乏しいフランの感想を見分けるなど、度台無理な話ではあるのだが。

「じょーだんですよー。梟先輩死んだら誰がベル先輩止めるんですかー」

「フランくんなら息の根も止められる」

「おー、やったー。今度やりますー」

「ボスに怒られても責任外」

「・・・考えておきまーす」

全部の会話が淡々としている。
ルッスーリアやベルには「お前ら気持ち悪い」と言われた。
何がいけないのかさっぱり分からない。

フランくんの頭の蛙に抱きついた。
なんとなくだ。
体重をかける。

「重いですー」

「・・・」

フランが見上げようと顔を上げた。
蛙が傾き、落ちそうになる。

「でも人間としては軽いですー。日頃何食ってんですかー空気ですかー」

「・・・・・・」

「無視ですかー」

「眠い」

「えー」

「・・・」

「寝ないで下さいー。そうだ、続き話して下さいよー、話すくらいできるでしょー」

「・・・いいけど」

じゃあヴァリアーには来たから、続きどこから話そうか、と呟けば、彼はどこでもと答えた。
それじゃあ答えになっていない。

「じゃ、ゆりかご前。ゆりかご自体は知ってるでしょ?」

「・・・一応ー」

「じゃあその前」

「どうぞー」

お茶を飲みながら、思い出話を再開した。

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