Playing Love
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「今晩は何が食べたいですか?」
家を出ようとする彼の背中に向かって話しかける。
「何でも良いよ。」
靴を履きながらそっけなくそう答えて、彼は振り返った。
「直の作るものはなんでも美味いから。」
そう言われると私は言葉に詰まってしまう。
「・・・分かりました!あの、遅くなるときは・・・」
「ちゃんと連絡しろ、だろ?俺が連絡しなかったことがあったか?」
ちょっと昔に、急に私の前から消えてしまったことなんかなかったかのように彼は笑う。
「ない、です。」
そう、今はもう確かにそんなことはない。
いつも私の傍にいて、いつも私を守ってくれる。
「だったら心配することはない。そうだろ?」
彼がいなくなった日のことをいまだに思い出す私の気持ちを全部分かっているかのように、優しく優しく頭を撫でて。
「早く帰ってくるから。」
だからそんな顔するな、と言わんがばかりのその表情を見て、大事にされていることを痛感する。
「絶対ですよ?」
少し困り顔の彼に笑顔で切り替えして、小指を差し出す。
「指きりです!」
「子供か。」
「子供じゃないです!約束ですからこうするんですよっ。」
「はいはい。」
仕方なく絡めてくる小指を結んで、子供みたいに指きりをして。それから彼がちらりと時計を見た。
「もう行かないと。」
あんまり慌てていない様子でぼそりとそう呟く。
「あ、お弁当!忘れないで持ってってくださいね?」
「大丈夫、ちゃんと持ったから。じゃあ行ってくる。」
「待ってください、行ってらっしゃいのキスは?」
「馬鹿か。」
「・・・じゃあぎゅーで良いです。」
「・・・っ!帰ってきたらいくらでもしてやるから!」
「ふふふ。分かりました。」
玄関の扉を出るところまで見送って、憧れた日常が手に入った幸せを噛み締める。

「いってらっしゃい、深一さん。」

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101217
めぐ様リクエストの夫婦秋直を・・・
旦那が出勤すると言うのに玄関先でいちゃいちゃしすぎじゃないですか←
直ちゃんは何だかんだ深一さんを尻に敷くと思います。無意識に。なんて小悪魔!(えっ
リクエスト有難うございました><




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