いじてみた
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「知ってるか?人間ってちょっとしたことで無抵抗になるんだ。」
秋山さんがそういって私を組み伏せたのが少し前。

・・・実際のところ、時間なんてどのぐらい経ったのか分からなかった。
そんなにきついわけでもないのに縛られた手足は動かなかったし、目隠しをずらすことさえ出来ないままで、ただ耳には秒針の音だけが聞こえていた。

「ねぇ、秋山さん。」
名前を呼ぶけれど、返事はない。
でも、部屋にいる。気配はある。
暑い。
ベッドにこのまま転がされて、放って置かれたらどうなるんだろう?
暑さでぐるぐるする頭で考えた。
でも秋山さんがどういうつもりでこんなことをしたのか私の頭ではよく分からなかったし、そうはならないような安心感がなぜかあった。
秋山さんが私をこのまま放っておくわけはない、なぜかそんな気がした。

「秋山さん、これ、解いてください。」
もう一度言ってみる。
返事はないけれど少し離れたところで椅子が床が擦る音がした。

「・・・もっと、泣いたりわめいたりしないの。」
頭の上から声がする。
言っている意味がよく分からなくて、返事が出来なかった。
「俺が動けない君に何をするか分からないのに。」
いつもより冷たい声に背筋がぞくりとした。

「秋山さんは、そんなひどい人じゃないですから。」
大丈夫、と自分に言い聞かせて、目隠しで見えないけれど秋山さんの気配がする方をじっと見る。
ドキドキした。少し声が震えたかもしれない。

「ふぅん。」
人一人の重さがベッドに加わる。
ぎし、と小さく軋む。

首筋に冷たい手が触れて、予期しない接触に体が強張った。
手がそのまま首筋から胸元へ、緩やかに下りてくる。
「あっ・・・秋山さ・・・っ、こんなの・・・っ」
肌に触れる手の感触にゾクゾクだけが増していく。

「触られるの慣れてるだろ?」
「でもっ、なんかいつもと・・・っ」
するりと胸の敏感な突起にに指先が触れて思わず息を呑む。
「やっ・・・!!」
いつもよりドキドキが大きいのに気付く。
本当にちょっとしたことなのに何も出来ない自分に驚いて。
秋山さんがこんな事をするって言うことにも頭がついていかなくて、
何だか分からないまま頭と身体が熱を帯びていくのだけ自覚する。

――――怖い。

そこで手が止まった。
秋山さんが小さく笑う声がする。
「・・・君って――」
小さな声で秋山さんが何か言ったけれど、頭が熱くてよく分からない。
ふいに目の前が明るくなって、いつもの秋山さんが視界に入る。
涙がこぼれた。

「・・・ぁ、きやまさ」
「怖かった?」
「・・・・・はい。」
鼓動の高鳴りは収まるどころかますます酷くなって、
上がった息を吐き出す隙間からようやく返事をする。
にっこりと秋山さんが笑った。

ココロがぎゅっと捕まれた様な錯覚に陥る。

両手足の拘束を器用に解きながら秋山さんが静かに耳元で囁く。

「続きをしようか。」

自由になった身体は、考えるよりも先に頷いていた。

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100819
ちょっとエロくてラブいものを書いてみたかったんです。
直ちゃんのMっぷりをどこかで発揮させたいと思ってたんですけども・・・
どうしてこうなった・・・。




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