キス
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食事も終わって、ソファの上。くつろいでいると、彼女が遠慮なく甘えるようにすり寄ってくるから、もっと近くにって欲が出る。
「ここ、」
そういって膝の上を指さすと、彼女がみるみる赤くなって困惑の表情を浮かべた。
「来いよ。」
恋人同士なら、膝の上に座るくらい何でもないだろ?少し意地悪にそう言うと、おずおずと彼女が俺に向かい合うように膝の上に乗ってくるからすかさず腰に腕を回した。
「意地悪ですね」
「そうか?」
悪びれた様子もなく返すと、彼女はもう、と呟いた。
「秋山さんはいつもそうやって、私を困らせようとするじゃないですか。」
うん、正解。
「そんなことない。」
「嘘です!絶対に困らせようとしてますよ!」
だいぶ賢くなったようだ、と思い、自然と口元が緩む。
「…お前に疑われてるなんて、悲しいな。」
「えっ、あっ…あの、別に疑ってるわけじゃ…ごめんなさい。」
本気で慌てる彼女に堪えきれずに笑ってしまう。
「そうやって、すぐ人を信じる…お前のバカ正直はどうやったら直るんだ。」
一瞬きょとんとした顔をして、次の瞬間ひどいです!と抗議をしてくるのもそれはそれで面白い。
「何でそんなに嘘ばっかりつくんですか、信じちゃいますよ…私。」
だって君が言ったんだ。
「嘘つきは嫌いか?」
真っ直ぐに目を見て訊く。
君も真っ直ぐに、
「良いんじゃないでしょうか…人を幸せにする嘘なら、」
あの日と同じように答えるから。
「俺の嘘は、お前を不幸にしたか?」
「…してない、です。」
「だったら良いだろ。俺を信じていれば。」
「秋山さんはやっぱりズルいです!!」
ぽかぽかと俺の胸元を叩く。…漫画でも最近こんなリアクションする奴いないんじゃないか。
「いつも私ばかりドキドキしてるみたいでズルいので、お詫びにキス…してください!」
「なんだよそれ。」
言ってる事が支離滅裂だ。
「だって…だっていつも秋山さんばっかり…」
耳まで真っ赤にしている彼女は、大変弄り甲斐があるというか、こういうところが確かに堪らなく可愛いんだけれど。
彼女自身は、自分のこういうところが俺の加虐的な部分を煽るのに気付いてないんだろう。はぁ、とため息をついて彼女を見る。
「…分かったから、ホラ。もう少し顔近づけて目、瞑って。」
はい、と素直に従う彼女の唇に、触れるだけの軽いキスをしてやる。
「これで満足か?」
彼女はぼんやりと目を開けて、潤んだ瞳でまた俺を見つめる。
「もう少し…して欲しいです。」
…君は俺をズルいって言うけれど、俺からしてみたら君だって充分ズルい。そんな事を考えながらもう一度、

今度はもっと深くて長いキスをーーー。

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100524
twitter診断でやったキスお題。
思い出の場所で/目を瞑って/膝だっこで/相手にキスを迫られている
って感じだったのですが「思い出の場所」は難しかったorz
まぁ勝手な言い分ですが2人が揃えばもうそれで思い出の場所ですよ(うわ…)
フォロワーさん方のキスお題もどれも素晴らしかった…。




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