嘘じゃなくしていた
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電話をかけようと携帯電話を取り出しては思いとどまって、電話をしまう。
君の事を思い出してはいらいらして、こんな日々を繰り返すことに疲れて。
君のいる場所はここじゃないんだ、と自分に言い聞かせては諦める。
会ってしまえばまた笑顔にほだされてしまうから、
「これでいいんだ、終わらせるんだ」
などと無理矢理納得する。

一緒に過ごした日々も、そのうち薄れていくといい。
諦めの悪い君のことだから、またどうせ泣きながら電話してくるんだろう?
もしくは俺の居場所を知っていそうなやつらに片っ端から連絡を取り合って、また騙されたり金を巻き上げられたりするかもしれない。
…ああ、ほらやっぱり。着信音が鳴るようになってるのは他の誰からでもない、君からの電話だけだからすぐに分かる。
でも出ないことにする、俺がいなくても君はもう十分戦えるし、生きていけるだろう。
一番最初に出会った頃の君からは考えられないぐらい成長しているんだから。
もうしばらくしたらこの携帯も変えよう。
二度と君が俺みたいな輩に関わらないように、頼らないように。
どうしようもなく惹かれてしまっているのは事実だけれど、君のためって言う言い訳を振りかざしてこの気持ちはしまってしまおうと思う。

…もう少し早く出会えていたら、もしかしたら少しは変わっていたのかも知れない。
所詮結果論だが。今更どうにかなるわけでもない、我ながら可笑しなことを考えるもんだ。

最後に、届くはずもないこの言葉を。
君の言葉に応えたことは一度もなかったな、結局。
いつかこういう決断をすると分かっていたから、逃げていた俺はやっぱり君には釣り合わない卑怯者だと思う。それでも、君を、

嘘じゃなく、愛していた。

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100713




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