幸せを
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「…何。」
本を読む綺麗なその横顔を眺めていたら、秋山さんは怪訝な顔で私をチラ見した。
「なんでもないです。」
もう何十回、何百回も繰り返したこんなやりとりを、まだまだ繰り返せると思うくらい秋山さんを好きだと思う。
お気に入りのぬいぐるみを抱いて、お気に入りの淡いピンクのブランケットにくるまって秋山さんを眺めることが出来るこの時間は、とても幸せ。
「…そうやって俺のこと見てて、楽しいか?」
はぁ、とため息をついて秋山さんが呆れたようにぱたりと本を閉じた。
「あ、ごめんなさい。邪魔するつもりは…」
「そんなにジロジロ見られてちゃ落ち着いて本も読めない。だろ?」
「……はい。」
怒ってはいないようだけど、諭すように話すからとても申し訳ない気持ちになる。へこんでいると、秋山さんが膝をぽんぽん叩いて私を呼んだ。
呼ばれるがまま、その膝の間に腰をおろすと、後ろから抱きしめられる。少しくすぐったくて、笑ってしまう。

「…なんか最近、子供って言うよりペットみたいだな。」
秋山さんが言う。
「じゃあ私、秋山さんに飼われてるんですかね?」
「そこまでは言ってない。」
失笑混じりに秋山さんが言って、私の髪を撫でた。
あぁ、こうしていられるなら飼われるのも悪くないかも知れない、なんて少しだけ思う。
彼が髪を撫でてくれるのが嬉しくて、大人しくしていると、ふいに首筋に唇の感触がして背中が強張る。秋山さんが笑う。
「秋山さんはペットにもキスをするんですか。」
体中の血液が回り始めるのを自覚しつつ、訊いてみる。
「君はペットじゃなくて人間だからね。」
ほらこっちむいて、と言われるがままに従って、唇にキスを貰う。
「これが一番、しっくりくる…かな。」

「…秋山さんの、いじわる。」
体中が心臓になったみたいにバクバクと音を立てていて、頭がうまく働かないからろくに言い返せない。
なのに秋山さんが満足げに微笑みながら私の髪を撫でるから…

あぁ、私いますごく、幸せです。

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拍手第4弾。




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