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もうすぐ世の中はゴールデンウイークとか言う長期連休で、不景気云々言ってても人々は皆浮かれがちだ。彼女も勿論例外ではないらしい。
「秋山さんは、ゴールデンウイークはお休みですか?」
「いや、休みだけど…」
彼女の表情が明るくなる。
「あの、もし暇なら…一緒にどこか出掛けたりとか…どうですか?」

ここのところずっと日帰り旅行だのなんだのと書いてある雑誌がカバンに入っていたのを知っていたけれど、てっきり友人とかと出掛けるものと思い込んでいた。まさか俺を誘うつもりだったとは。

「…予定はない、けど…。」
「本当ですか!?」
「ないけど、旅行に行くとは言ってないぞ。」
彼女がどういうつもりかは知らないが、2人っきりで旅行とか気まずい。
「え…でも予定ないんだったら良いじゃないですか…」
「そもそも、こんな時期にどこに出掛けたって混んでるだろ?俺は人混みが苦手なんだ。悪いな。」
彼女が残念そうな表情を浮かべる。悪いが、これが多分一番いい。
「そうですか、残念です…じゃあ福永さんに連絡しないと…」
「…え?」
思わず聞き返してしまう。
「あ、今回の旅行企画したの福永さんなんです。福永さんから言っても多分来てくれないから、私から秋山さんを誘ってって頼まれてて…」
頭がくらくらしてきた。
「ちょっと待て。キノコの他に誰が来る予定なんだそれ。」
「えっ…と。」
彼女が携帯メールを見直す。
「江藤さん、ヨコヤさん、あと…葛城さん。それから…」
「分かったもういい。」
なんだその参加メンバー。ライオンの群れに無垢な子羊一人で放り込むような。
「秋山さん?」
「…気が変わった。俺も行く。」
首を傾げる彼女に気付かないふりをして、頭をフル回転させる。
…これは、なかなか大変な休暇になりそうだ…。


(ところでどこに行くか訊いてもいいか?)
(軽井沢にあるヨコヤさんの別荘とかなんとか。)
(…泊まりなのかよ…。)
(因みにバスはエリーさんが)
(!?)

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若干時期はずれだった拍手第3弾。




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