as ever
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君を家まで送り届ける、慣れた道のり。少し離れて並んで歩くのも、いつも通り。
歩幅の小さい君が、俺に向かって色々と話しかけながら歩くから速度をいつもよりほんの少し落とす。置いていかないように、遅れないように…
「…で、結局なんとかなったんですけど。」
「そう。」
学校であった事とか、そんな他愛もない話をして、俺に向かって幸せそうな笑顔を向ける君が愛おしいと思う。
話の内容よりも、君の声が耳に届くことが幸せだと感じる。
こうして、何かしらの理由をつけて、君を家まで送り届ける日々ですら。
君の家が近付いてくると、いつも君が少しだけ寂しげな笑みを浮かべるのを知っているけれど、そこには敢えて触れずに階段下まで君を送り届ける。
「ありがとうございました。」
君が言う。
「いいよ。戸締まりは気をつけろよ?」
不用心な君にちょっとした忠告をすると、君ははい、と返事をしてまた笑う。
じゃあ、と手を振った君に背を向けるけど、俺の背中が見えなくなるくらいまでいつも階段下で小さく手を振っていることにも、本当は気付いてる。振り返ったりはしないけど。

自宅へ向かう途中、ふいに携帯が震えた。メール受信…カンザキナオ?

君からのメールを確認して、つい笑みがこぼれてしまう。きっとこういう感じを「幸せ」と言うのだろう。
こんな幸せがいつか当たり前に変わる日が来て、君の笑顔さえ見慣れた日々が訪れても、きっと俺はそんな他愛もない日常を守りたいと思うんだろう。
君と一緒に。


『また、明日も会えますか?』

君からのメールを思い出して、速度を少し上げて歩く。
返事はもちろん――…。

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100506
両思いで片思いな感じ。




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