I'd Do Anything
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつものように彼女が俺の部屋に来たけれど、やりたいことや読みたい本があったので放っておいた。
彼女はというと、最初のうちこそ俺に話しかけたり構ってオーラを出したり色々していたけれど、そのうち飽きたのかテレビを見始めた。
…最近は自分の時間が取れないことも多い。こういう日があったって良いだろう。
幾分か時間が経って、彼女の方を見るとうとうとしているのが目に入った。
飽きたら寝るって…子供じゃないんだから。やれやれと彼女に近付いて、肩を小突こうとする…と、彼女の手が俺の腕を掴んだ。
「っ、おい…」
ゆるゆると、俺の腕に自分の腕を絡ませて胸元に抱きしめるような形になる。
寝てる…んだよな?
「おい…直?」
もう一度声をかけてみる。
「んん…」
むにゃむにゃと、腕を抱いたまま。
…困った。多分普段抱いているぬいぐるみか何かと思っているんだろう。
けれど、この状況は…。腕には力が篭もっていないから、ふりほどくのは簡単。でも、そうするのはなんだか勿体無いような気もしてしまう。
「起きろよ…」
呟く。
「起きないと襲うぞ?」
彼女が起きているときには言えない台詞だ。本当にそう出来たら、と思うけれど…。
腕にだけ、彼女の体温と鼓動が伝わってくる。
全身でこの温もりを受け止めたいのに。

俺は何もかもを諦めて、彼女が起きるまで腕を預けることにした。
こういう日があったって良いだろう?と自分に言い聞かせて。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

100424
何でも出来そうなのに何にも出来ない、それがへたれ山(待てコラ)




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -