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ふわりとしたその髪を撫でて、秋山は微かに微笑む。腕の中で少女は安らかに寝息をたてている。
いつからか神崎直は家に入り浸るようになって、泊まり込むようになって、どんどん秋山の生活に侵入してきて、今では腕の中にまで収まっている。
自分の道を振り返れば、彼女に愛される資格などないのに。そう思って彼女を置き去りにしたこともあった。けれど結局こうして元に戻ってしまう。
秋山は、直の寝顔を覗きながら、自嘲が入り混じったような笑いを浮かべた。
彼女は、紛れもなく秋山にとっての光だった。闇に染めたくないと思うのに、どうしても手放せない自分が可笑しい。
色んなことをしてきた。良くない事も、沢山。そうして、刑務所にまで入って、ようやく君に出逢えたんだと秋山は思う。きっと、今までしてきた全てのことが、君に出逢うためだったんだ。
そのために君を苦しめるかもしれないけれど、それでも君は俺を好きだと言ってくれる。

…少しくらい、甘えてもいいだろう?

額に軽くキスをする。
「ん…秋山さん?」
直が目を覚ます。
「起こしたな、…悪い。」
「良いんですよ。」
ふんわりと直が笑った。心が満たされていく。
「また難しい顔、してます。」
寝ぼけ眼で秋山を見つめる直がそう言うから、無理やり笑顔を作る。
「大丈夫だ。」
「…私は、ずっと…秋山さんのそばにいますよ…。」
「…有難う。」

彼女を悲しい目に合わせるかも知れない、けれど、自分がその分彼女を守ればいいだけだ。
「直、」
優しく囁く。
明日も、来年も、その先も…ずっと隣にいるから。だから安心しろ。
直は大きな瞳で秋山を見つめて、はい、と笑った。

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