・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◇あ 愛し合えたら
愛と一言で言っても、色んな形がある。カンザキナオに関して言えば、彼女の抱えている愛はまさに「博愛」であり、それは恐らくは誰に対しても平等に与えられるものだろう。しかし、その愛情を、独り占めしたいと時折思う。周りから見たら、ことあるごとに俺を頼っている彼女だから、普通以上に愛情を受け取っているように見えるかもしれないが俺にはまだまだ全然足りない。一方通行じゃなくて、博愛でもなくて、ただ「俺だけを」愛してほしい、そうすることでやっと対等になれるような、そんな気がするから。

◇い 一途な想い
想っても想っても、秋山さんは手が届かないくらい大人に思える。少しでもその背中に近付きたくて自分なりに頑張っても、いつも全然かなわないと痛感させられる。どんな言葉で、態度で、この気持ちを伝えたら、あなたは気づいてくれるでしょうか?先は、まだまだ長い。他のことならなんだって、あなたに話せるのに。

◇う 後ろめたい事
「秋山さんの家を教えて下さい」と彼女は言うけれど、俺はなんやかんや理由をつけてはぐらかす。何でですか、としつこく食い下がる彼女の、少し悲しそうな表情に耐えきれなくて住所を教える。ねぇ、だって俺の家に来てどうするの。君を帰したくなくて、鍵を閉めきってしまうかも。そんな後ろめたい気持ちくらい、俺にだってあるのに君は全く分かってない。

◇え 永遠なんて
休みの日に食材を買い込んで秋山さんのお家に上がり込む。私が行くといつも彼は難しそうな本を読んでいる。お昼ご飯を作って、一緒に食べて、他愛もない話をする。彼は大抵の場合、本に目線を落としたまま、相槌を打ってくれる。ソファで隣に腰掛けて、そんな午後を過ごす。永遠に、とまでは言わないけれど、こんな時間が続けば良いのに。

◇お 大きな誘惑
いつものように彼女の作るご飯を食べて、同じソファで休日の午後を過ごす。何気ないけれど、隣に彼女がいることでなぜか安心したりする。そのうち、肩に少しずつ体重がかかってくるのを感じる。ふと見ると、どうやら寝てしまったようだ。…本当に、無防備すぎる。更に天然だから始末に負えない。透き通る肌、長いまつげ、血色の良い唇。抗えない程の魅力があるけれど、それはそれ、これはこれ。ひとまず本を閉じ、彼女の髪を撫でてその眠りを妨げないように…。そっと自分も目を閉じた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

100416
想い合ってるのにもう一歩踏み出せないみたいなのが好き
お題はMoonlight様から




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -