わたくしの弟は何故こんなに可愛いのでしょうか

わたくしの弟は実に可愛らしいです。

基本昔からわたくしにべったりで、まずそこからして可愛いです。幼い頃はわたくしの後に雛鳥のように一生懸命ついてきてましたし。今ではわたくしが腕を引かれることが多いですが無邪気に笑いかけてくれる笑顔は本当に可愛いのです。毎朝起こしに行く際見れる寝ている姿はまるで天使のよう。揺すって起こし眠そうに目を擦りおはようと微笑んでくれるだけでわたくし幸せなんです。ご飯の時も口の横にご飯粒をつけて「ノボリのご飯はほんとうに美味しいね!ぼく大好き!」と楽しそうに言ってくれるものですから…。わたくし歓喜の余り沸騰しそうになりました。兎に角クダリは可愛いです。バトルの時はその幼さも少しなくなり……なんといいますか。多少大人びて格好良くなるんです。それでもバトルが終わるといつもの可愛らしいクダリに戻るのです。ポケモンと触れ合う際も何故か一緒にきのみを食べてたりすることもありますが。クダリが可愛いので何ら問題ないです。そういえば今朝、出掛ける前にクダリがネクタイが結べないとわたくしを頼ってきて下さいました。わたくしが結ぶと何とクダリが、あの可愛らしくわたくしの天使であるクダリが!「ノボリいつもありがとう」と言いながら口にキスしてきたんです。頬?いえ唇でしたが…。何言ってるんですかトウヤ様。クダリにならわたくし何されてもいいですから。ええ可愛いから何でも許せます。普通はしないでしょうが・・・生憎クダリは天使なので。普通の方とは考えてることが少し違うのです。だから何ら問題ないですよ。…何を言ってるんですか、冗談はやめて下さいまし。クダリはそんなことしません。いくらトウヤ様とてクダリを疑うのは許しませんよ!




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ぼくのお兄ちゃんはすっごく可愛い。

昔からすごい頼りになるし、何よりすっごい純情。優しくて頭も良くてバトルも強い。お世辞にも少し弱くて喜びを表に出すのが少し苦手。でもそんな不器用なところがすごく可愛い。時々はにかむように笑うのが可愛い。昔はノボリに頼りっぱなしで後ろ姿ばかり見てきたけど。今は別。隣に立って綺麗で可愛い横顔見つめるのがぼくの日課。ノボリは寝起きがいいからいつもぼくを起こしにきてくれる。本当はキッチンでノボリがぼくの為に作ってくれる料理の音と匂いで起きてるんだけど。でも朝起こしてくれる時のノボリは本当に可愛いからつい狸寝入りしちゃう。だって聞いてよ。あんな幸せそうに微笑んでぼくの名前ずっと呼んでるんだよ?早起きしちゃったら勿体ないし。それにご飯もすっごくおいしいの!ノボリはぼくの世話を焼くのが好きみたいだから口の横にご飯粒をつけると嬉しそうに笑いながらとってくれるの。あ、その時頬に触れるノボリの指を食べたくなっちゃうのは内緒ね!しかも素直に気持ち伝えらノボリすっごい真っ赤になって本当おいしそうだった。だからぼくノボリを見つめた。そしたら「恥ずかしいので見ないで下さいまし」って返されて、今度はぼくが爆発するかと思った。…なんか最近のノボリ見てると、そろそろ我慢できるか不安になってきた。だからね!今日の朝出掛ける前にネクタイ結べないって嘘ついたの。ん?何したかって?キスしただけだよ!ちょっと我慢できなくなっちゃってね!ノボリにお礼言っ………ん?どこにって…。そんなの口に決まってるじゃん。え?ノボリと気まずく?そんなことないよ、それに気まずくなんてぼくがさせる筈ないでしょ。ノボリはぼくのこと天使とか可愛いとか思ってるから。何しても首傾げれば許してくれるよ。トウコ?どうしたの?ノボリが可哀想?何言ってるの、ノボリはぼくのだから勝手に可哀想とか言わないで。あ、勿論可愛いも駄目だよ。ノボリの可愛さはぼくだけ知ってればいいの!




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「あ、クダリ…」
「ん?あ!ノボリー!」

「トウヤ…」
「トウコ…」

白と黒が楽しげに会話している横でトウヤとトウコはげんなりしながらそれを眺めていた。そしてその視線に気付いたクダリが口を更に吊り上げ、愛する兄に抱きついた。案の定無邪気に抱きつくクダリにノボリは心を打たれ頬を緩ませてるのだが。


一見して微笑ましい光景。しかしそれは果たして純粋無垢で無邪気なものか計算されたものかどうか……。トウヤはそんなことをぼんやりと考え、片や無邪気な白の裏の顔を知ってしまったトウコは苦笑するしかなかった。