!エメイン妄想

「エメットなんか知りません」

頬を膨らませ背中を向けるインゴ。とても可愛いが・・・それを今表に出してはいけない。俯き悲しんでる様子を装いエメットはその場を後にした。ように見せかけ影から弟の背中を見つめた。

隠れて見つめ始め数分、インゴは辺りを気にしながらポケットから何かを出し、その場で花を飛ばし始めた。・・やっぱり今日もなんだね。エメットは口元を上げる。

「このしょぼくれた様子・・!我が兄ながら何て可愛らしいことでしょう!本当堪らないです・・!スーパーブラボー!!」

ポケットから出したカメラや録音機に声を弾ませ、1人で頬摺りするその姿はまさに不審者。しかし彼が纏っている黒のコートのお陰で偶然見かけた者は見なかったふりをする。勿論そんな黒の後ろで目を光らせている白が居てもだ。

インゴは昔からエメットに冷たい言葉を投げかけてきた。それは好きの裏返し。エメットは全て承知の上で、冷たい言葉を浴びる度こうして気付かれぬよう影から盗見るのだ。そしてそこは双子。インゴが自分の悲しげな様子を仕込みカメラで撮影しているように。エメットも悦に浸る弟を撮影する。それも堂々と。
しかしSな一面を覗かせ喜ぶ弟を見る為、毎回わざとその場を後にしたふりをして早数年。

・・・なんか飽きてきたなぁ。いくら後ろから撮影していても一向にカメラの中の自分にしか見てくれないインゴにエメットは多少痺れを切らしていた。もう面倒臭い、バラしてしまおう。首をゴキリと鳴らして靴を響かせた。


「わぁ気持ち悪い!」


その時振り返ったインゴの顔ったら!全てが終わったみたいな顔して・・本当愚かな弟だこと。

「エメッ・・・」
「ポジションチェンジだよ、インゴ」

これからはぼくがいじめてあげる。



* * * * *
インゴはS
エメットはドS
兄のしょげた様子の為インゴは毎日録画してたけどその様子を更に撮影してた性悪エメットのお話
安定の歪兄弟/笑