第二話 転校生

クラスのサプライズがあるときは、意外とクラスの欠席が少ない。だからかほぼ全員
揃っていた。

「おはよう!皆!」

「おぅ!おぜぇぞ!遊戯!杏子!」

「おはよう!遊戯。杏子!」

「よかったね。遊戯。杏子ちゃん。ホームルーム開始まであと1分あるよ。」

「うん。で、転校生は?」

 遊戯は教室内を見回した。ある席が空席になっている事に気づいた。

「あれ?海馬君は今日も休み?」

「ああ。あいつも馬鹿だよなぁ。超可愛い転校生が来るっていうのによっ!」 

 城之内は勝ち誇ったような大きな笑い声をあげた。

「お前ら席に着け」

 遊戯のクラスの担任の教師が転校生を伴って教室に入ってきた。周囲の目が男子生徒、
女子生徒問わず転校生に釘付けになった。

「日直!」

 教室に教師の声が響く。日直の生徒は現実に引き戻されたように急いで号令をする。

「えー。季節外れだが転校生を紹介する。望月、自己紹介を。」
 
「望月」と呼ばれた生徒が前にでる。

「望月昴です。えっと…前は父親の仕事の都合でエジプトにいましたっ。不慣れな事
もありますがこれからよろしくおねがいします。」

 男女かかわらず釘付けになるのも無理はない。目の前にいる少女は、錦糸のようなブロ
ンドのショートヘアに晴天の空を詰め込んだ瞳。小柄ながら均整がとれたスタイル…。

それに加えて緊張しているのか白い陶器のような肌に赤みがさしていて、少女の魅力を、
より一層引き立てていた。

「季節外れだが仲良くしてやってくれ。ああ望月。席は武藤の隣だ」

 昴は担任の教師の指示通りに遊戯の隣の席についた。

「望月昴です。よろしくね?えっと…。」

「武藤遊戯って言うんだ。『遊戯』でいいよ。」
 
遊戯は笑顔で昴に答えた。
 
これから遊戯の〈非日常〉が「再び」始まろうとしていた。


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