序章
「はいっ!デュエル終了〜♪」
深夜の人もまばらな裏路地から幼い少女の笑い声が聞こえる。
「勘弁してくれよぉ…。俺まだ…」
少し小太りな青年が首から脂汗を流しながら情けない声を出してひざまづいていた
「『まだ死にたくない』でしょ?」
金髪のボブヘアーにツインテール、金色の瞳に原色を基調としたいかにも子供が好みそう
な服を着ている歳は10歳前後だろうか?
その少女のかたわらには、少しウェーブのかかった薄紫の髪をアップにし、耳には禍々し
いピアスをした女が青年に冷たい、それでいて楽しげに青年に言葉をなげかけた。
「お、お、お前らグールズのざ、残党だろっ?」
小太りな青年はいつの間に自らの横に来ていた、短髪の長身の青年(腕には女のピアスによく似たブレスレットをしている)に焦りの口調でといかけた。
「さぁ…な…」
短髪の青年は、自分の後ろに腰掛けている赤い長髪を後ろに縛り、ホストのようなスーツ
を着ている青年(首には禍々しい装飾のついたネックレスをしている)に目を移した。
「知りたいか…?」
スーツの青年は金髪の少女に目で合図をする。
「これを見ればわかるよ?」
少女は小太りな青年に禍々しい装飾のついた鏡をみせた。
「な…なんなんだよ…」
青年は素っ頓狂な顔をして鏡を見た。
「お兄さんが『あのカード』を持ってないからだよ?」
少女はさっきまでの笑顔から一転して冷酷な表情をした。
とたんに、鏡から黒い煙のようなものが出て小太りな青年の体をつつんだ。
「体はそのままにしといてやる。我らの僕にするには最適だからな」
スーツを着た青年は黒い煙に向かって温情に満ちた声をかけた。
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