アリスドラッグ | ナノ


▼ そして僕たちは、2


「あのね、ちょっとお使いして来て欲しいの……いいかしら」

「あ、はい。もちろん」



 群青を呼んだ女・文は群青に一枚の紙を渡す。そこには店の名前が書いてあった。



「ああ……この店。わかりました、すぐに戻ってきますね。なにかあったら紅にでも」

「ええ、よろしくね」



 群青は文にぺこりとお辞儀をして、部屋をでていこうとする。そのとき、外側から扉が開いて人が入って来た。



「あ……群青。どこかいくの?」

「ああ……おまえの着物をとりに、外に」

「そうなんだ。ありがとう……気をつけていってらっしゃい」



 群青はふ、と笑うとひらひらと彼に向かって手をふる。部屋を出る瞬間に振り返って、穏やかな声でこう言った。



「……いってきます、椛」


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