アリスドラッグ | ナノ


▼ 想いは届かない1


「あ、今日はみんなと一緒にいたんだ」



 椛と共に船に戻ってきたウィルは、船員と戯れているオーランドをみるとそう言って笑った。安心した、そんなふうにウィルは目を細めたのだが、いつもと様子の違う彼にオーランドは気付いてしまった。目元が、腫れている。そしてウィルの後ろをついてきた椛の表情もどこか陰っていた。



「ウィル……二人で何を話していた」

「なんでもない。……そろそろ日没がくるから俺はさきに部屋に戻っている」

「……じゃあ、俺も一緒に」

「いや、今日くらいはみんなといろよ。船長だろ」

「……いい」



 オーランドは立ち上がると、ウィルの手を掴んで船長室まで引っ張っていった。


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