一日が終わる1

 
 資料室を出て、沙良と波折は二人で軽く他のクラスを回ることにした。夕方になってくると客足も減ってきていて、昼間と比べると校舎は閑散としているように感じられる。このくらいになってくると、出店そのものを楽しむというよりも、昼間の賑やかさの余韻に浸りながらだらだらと一緒にいる人と会話をして過ごす……みんな、そんなふうにしていた。沙良と波折も例に漏れず、ちょっとだけ食べ物を食べたりもしたが、あとは廊下の柵に寄りかかっておしゃべりをしたりして過ごしていた。途中メイド服の波折をみた生徒が何人か話しかけてきたが、それなりに楽しい時間を過ごせたと思う。

 空が暗くなり始める頃に、学園祭の一日目は終わりを迎えた。放送でアナウンスが流れて、各々自分のクラスに戻ってゆく。


「せんぱーい、じゃあ、またあとで! 終わったら連絡くださいね」

「うん、じゃあ」


 明日もあるとはいえど、やっぱり学園祭が終わるのはちょっぴりさみしい。でも、これから波折が家に来るのかと思うと、そんなさみしさも吹っ飛んでしまった。

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