甘い恋をカラメリゼ | ナノ
 deux


「温泉?」



 さっそく、俺は智駿さんを温泉に誘ってみた。そもそも智駿さんは旅行とか好きなのか、俺と違ってキャピキャピしたところが好きなのか……と色々と考えたけれど、ズバッと誘ってみる。そうすれば智駿さんは「うーん」と少し悩んでいた。



「ち、智駿さん……温泉、苦手?」

「いや、ううん。恋人と一緒に行ったことないなあ、って思って。仲間とはしゃいだりしに行くイメージが強くてさ。温泉って恋人と一緒にいくものなの?」

「な、何を……! もちろんですよ、智駿さん! のんびり美味しいもの食べてゆっくりしてだらだらして、そしてエッチするのが温泉です!」

「へえー、なんか楽しそう」



 どうやら、智駿さんも乗り気になってきたようだ。あともうひと押し、と俺はスマホを智駿さんに見せつける。



「これ! ここ、行きましょう!」

「んー? ああ、いいね。結構近いし」



 俺が智駿さんにみせたのは、隣の県にある温泉宿のサイト。智駿さんは興味深げにスマホを覗き込んで、頷いている。



「じゃあ……いついこうか。梓乃くんに合わせるよ」

「え、でも智駿さん、お店。俺が智駿さんに合わせますよ」

「個人営業だからね〜。休みたいときに臨時休業とかにしちゃえばいいの。たまにはね、そうやって羽伸ばさないと」

「そっか……じゃあ、この日とか」



 思った以上にスムーズに話しが進んでいく。結局、来週の平日に、ということで話しがまとまった。



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