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(しかもおまえが運転するのかよ!)



 屋敷の外にでると車が止まっていて、それで施設まで連れて行ってくれるらしい。てっきり誰か付き人が運転しているのかとおもいきや、ノワールが何事もないように運転席に乗り込むものだからラズワードは心のなかで突っ込んでしまった。



「? ラズワード、後ろじゃなくて、前。助手席乗って」

「うっ」



(助手席やだあああ!)



 ノワールに促され、ラズワードは荷物だけを後部席に置くと助手席に乗り込む。助手席は緊張するから嫌だと思っていたのに、ノワールはそんなラズワードの気も知らない。



「な、なんですか、施設は人材不足ですか」

「ん?」

「ノワール様が自ら迎えに来てしかも車運転しちゃうっておかしいでしょ!」

「いやー、ちょうど今の時間空いていたから、気分転換。ドライブもいいかと思って」

「俺とドライブしてなにが楽しいんですか!」

「俺は楽しいけど」



(あああああ!)



 どん、とラズワードは窓ガラスに頭をぶつける。そして放心したようにその状態で固まっていた。



「少し時間に余裕もあるし、遠回りしていく? 景色のいいところでも通ろうか」

「へ……」



 ちらりとノワールのほうをみれば、彼が「ね」と言って微笑む。ぎゅん、と心臓を掴まれたような気がして、ラズワードは思い切り彼から目をそらす。「勝手にしろ」とぼそりとつぶやけば彼は、おかしそうに笑ってみせた。
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