10

「う……」

「あ、ラズ……」



 朝の日差しで目を覚ますと、ラズワードは全身の痛みに眉をひそめた。焦ったような声が聞こえて顔をあげれば、ハルが泣きそうな顔でみつめている。



「ラズ……ごめん、昨日……やりすぎた」

「え?」

「起きちゃうかなって思ってはずさなかったけど……これ、すぐ外すから」



 つけっぱなしになっていた首輪に手をかけられて、ラズワードは黙りこむ。しかしじゃら、と鎖が鳴る音と同時にラズワードはハルの手を払いのけた。



「……もうちょっと、付けてて、ハル様」

「えっ……? じゃあ、せめて手錠の方……痛いだろ?」

「それも、はずさないで」



 戸惑うハルに、ラズワードは擦り寄る。



「……ハル様……抱きしめてください」



 手錠のせいで、ラズワードはハルに抱きつくことができない。だから、そう頼む。ハルは不思議そうな顔をしながらも、ラズワードを抱きしめてくれた。ぎゅ、と大事そうに抱かれて、ラズワードは心地よさげに目をとじる。



「ハル様……俺、ずっと……ハル様のものですからね」

「ラズ……」

「ん、……」



 唇を重ねられ、ラズワードは甘い声を漏らす。

 どうか――このまま、この幸せが続きますように。最近ずっと胸のなかに渦巻く不安を、この首輪が慰めてくれる。身動ぐたびになる鎖の音が心地よい。



「絶対、離さないから……ラズ」

「はい……!」



 まずは、今日のレグルス。ラズワードは、その、ハルの勝利を祈る――
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