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「たーだーいーまー。ラズー」

「……ハル様」



 日が落ちた頃、ノックもせずにハルが部屋に入ってきた。ノックくらいしてください、と文句を言おうとしたが、ハルの疲れきった表情にその言葉を飲み込んだ。

 ハルはふらふらとベッドに座るラズワードに歩み寄ると、どさりと抱きついてくる。そのままベッドに押し倒されるような形になったが、ラズワードはそっとハルの背に腕を回して抱きしめた。



「……ハル様? どうしましたか?」

「うーん……疲れた」

「……忙しかったんですか?」

「あー……うん、明日ちゃんと話すから……今日はもう疲れた……」



 ハルはぐりぐりとラズワードの肩口に顔を押し付ける。甘えるようなその仕草にラズワードは静かに笑うと、ぽんぽんと背中を優しく叩いてやった。



「ラズ……あーいい匂い」

「……ハル様、」

「あ……そうだ、ラズ、これあげる」

「……なんですか?」



 ハルはもっそりと起き上がると、ポケットから小さな箱を取り出した。ラズワードはそれを受け取り、開けてみる。



「……ピアス」

「……お付き合い記念です」

「……綺麗な色ですね」

「うん、ラズの目の色みたいでしょ」



 箱に入っていたのは、深い青色のサファイアのピアスだった。わざわざ自分のために選んで買ってきたのかと考えて、ラズワードは嬉しくなって笑う。そんなラズワードの表情をみて、ハルはちゅっと軽く口付けてきた。そして、くす、と小さく声をあげて笑ったラズワードに、今度は深く口付ける。



「……ありがとうございます、ハル様。嬉しいです」

「……シャワー浴びてくる」

「えっ?」

「……今すっごくラズとエッチしたい」

「……疲れてるんじゃなかったんですか」

「だって可愛いんだもん……ラズのこと触っていれば疲れとかどうでもよくなりそう」

「……じゃ、じゃあ……早くあがってきてください」



 かあっと顔を赤らめながら言うラズワードに、どきりと心臓が跳ねる。ハルはもう一度キスをして、ラズワードを抱きしめた。舌も絡めたいと思ったが、そんなことをすれば止まらなくなりそうだったため、我慢しておいた。
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