浦富

やっと転がり落ちるように結ばれた恋仲の相手は普通なら当たり前に出来る事、それがなかなかと苦難なのが困りものではあるが、そこが可愛いといえばこちらも惚れた弱みだった。
今日もその彼は、同じ組の迷子と言われる二人を取り押さえるので精一杯で、なかなか俺との時間はとれない。運良く姿を見つけたのはもう日の暮れた頃で、へとへとになった君を見つけて、丁度良く持っていた水の入った竹筒を持って側に寄れば、君は力無く廊下に投げ出した上半身を起きあがらせた。

「お疲れ」
「ん」

君は受け取った竹筒に口を付けて、一息。感謝の言葉と一緒に返された竹筒を自然と口を付けると冷たく感じる水が染み渡るのが感じられる。言葉を交わしたくって、手当たり次第の話題は誰でも出来るようなものだった。

「で、今日はどこまで行ったんだ?」

重なった視線で見開かれる瞳。別にそう驚くことなど聞いてはいないはずだと疑問符を浮かべると、すかさず反らした顔はふっくらと熱をためていた。そして、握り込んだ手の感触をもう一度見て思う。ああ、そうか、と。
友人だったその時だって、気にする事なく行われていた事だったはずなのに、それに君は反応したのか。君の結ばれた唇、俯いた視線、熱を含む顔、全てを視界に取り込んで、俺はその愛しさを噛み締めながら悪戯心にかられた。

直接触れた唇はずっと柔らかく触れて、俺が笑えば、君はさらに熱を含んだ顔でただ俺を見つめてた。あと何回繰り返したら当たり前に口付けできるようになるだろうか、と遠い未来を思いながら、行き場無くした手を握りしめた。


浦富で、関節キスに過剰反応して赤くなるシーンを描きます。




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