数富

身長を超したのはいつだったかな。
同級生に順々に追い抜かされることを、君が大層悔しい顔をしていたのを思い出す。背が伸びる方法を教えろ、と言ってきたこともあったし、君は本当に負けず嫌いだなと微笑めばもっと嫌な顔をされた。
今日も変わらずそんな君の相手をする僕は、君にどう見えているのかな。

「けどね、作ちゃん」
「あ?」
「大きい事が一概にいいとは言えないんだよ。忍ぶには大きさとは不得手だし、早さも大きければそれだけ不利だしね」
「嫌みにしか聞こえねぇーぞ」

もう一度笑み深くして君に向かえば、眉間が皺を寄せる。棚から小さな袋を出して君の前に座り直すと、疑いの目。そんなに警戒しなくても、と思いながら君の手を取りその袋を握らせる。

「それにさ、僕は今の作ちゃんが大好きだからね」

優しく、けれど逃げられない程度に強く握りむ。何泊か置いた後、その袋の中身を理解したのか、それとも言葉に恥ずかしさを覚えたのか表面に浮き上がった感情が愛しい。

「数馬、お、お前ッ」
「どっちでもいいよ。来る?それとも行こうか?」

顔を近づければ君は俯く。だけど、それを優しく拾えば甘く甘く唇が触れて、小さな答えが零れて僕は一層笑みを交えて答えた。

待ってるね、と。

数富で、プレゼントを渡すシーンを描きます。


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