次富

ちらほらと染まる葉。それが次から次と糸で繋がったように落ちる頃になると三之助にある症状が出てくる。いつもと変わりないと言えばそれまでではあるのだけれど、少し様子が違いその仕草は猫のようとも言えようか。

完結に言えば甘えたがりとなるのだ。

今日も朝方から霜が落ちるまでとはいかなくても、木枯らし鳴く程度には冷え込んだ休日。いつもほど早起きはしなくていいので、少し寝過ごせば日が上がり気温も上がるが、寒ければそれだけ早く目が覚める事でもある。

「さぁく」

掠れた寝起きの声で呼ばれて、頭まで被った布団から返事をすると、案の定そっちに行っていいかという質問だったが、これに意味をなした事など一度だってない。習慣というか、流れの順序というか、お決まりというやつだ。返事を返す変わりに少し身を寄せて場所を空けるとすり寄って布団に入る掠れる音と隙間から冷たい風が入り込んだ。

「んー」

身を縮めると、三之助はそれを割るように重ねた腕の間に入り込み胸のあたりに頬を擦りつける。三之助が布団に入ってくるのは季節関係なくやっていることだけれど、俺の懐に寄ってくるのはこの時期がほとんどだ。それ以外は、逆に俺を抱きしめては満足して額に唇ひとつ落とす。それでなくても、この時期は逐一すり寄ってきては甘える行動を見せて、手のかかる子どものようにくっついて離れなくなる。
今日も回された腕がしっかりと俺の腰を一周して、隙間ないくらい体を寄せている。

「さく」
「あー」
「さくぅ」

心地よい体温にうつらとした返事を返せば、繰り返される甘い名前は溶けかけている。わさわさと膨らみある髪の毛を撫でつければ、その声も段々と落ち着き初めて寝息に変わる。それを確かめてから、愛しさひとつ、三之助の額に落としてから俺も穏やかな寝息を追いかけた。

次富で、ひたすら甘えているシーンを描きます。


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