左富

私の方向音痴も多少は改善されたのが六年生になる頃。しかし、治ったわけではないので、やはり今まで通りに作兵衛に探され、さんざんに怒られて手を引かれて帰るのもお決まりであった。本日もそれは変わりなく、それも結構な時間がかかったのだと額に光る汗で理解した。

「あー」

部屋に辿り着くなり、うつ伏せに倒れて大袈裟な声を発する作兵衛。風呂行かないのか、と声をかければ返事も濁ったうなり声だった。
しばらく眺め、小さな動きも目に付くようになり、近づくとのぞき込んだ項があまりにも美味しそうだったので迷うことなく唇を寄せた。

「や、めろ!左門!」

少し力ない反抗はどちらと取るべきかは既に決まっている。
誰に言われたでもない、自分自身が決めた事を信じることは私にとって間違いなく真実であり、誇りである。本格的に覆い被さり続けると熔けるように力が抜けていく。諦めたような、いわば、しょうがないと笑って手を出すときと似た受け入れる優しさが嬉しいと思う。

「作兵衛、したい」

耳元が弱いことも熟知した上での囁きは、作兵衛の否定を奪いさり無言の合意を得たところで落ちるしかない快楽へと、転げ落ちた日暮れの事である。
左富で、押し倒すシーンを描きます。



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