鉢富

約束を取り付けたのは自分の方で、何のけなしに頷いた君。約束通りに白い寝間着をまとい入ってきた君が、静かに私の前に座る。今更、なんてことをしてしまったんだと悔いても遅い。
結わえていない髪の毛は少し濡れて、垂れ下った前髪が幼顔を除けば、それはただの幼いだけでは済まされないほどに、色を浮かべていた。少し落ち着きなく、下に視線を泳がせながら君は何を思うのだろう。そして今の私がどう映るのだろう。

「富松」

名をよべば反射で見合わせた視線。頬の色は丁度散りゆく桜と同じ薄紅で、ひらりとこちらに飛んでくれば、花の形には戻してやることは叶わない。けれど、その期待や不安やいろんなものを含んだ表情が、手に取るには躊躇覚えるほど愛しいのも事実で。
困り果てたことに、優秀とうたわれる私でさえ、年下の恋仲の相手にひとつだって格好のつくことがでず、まさか時ばかりを食いつぶすこととなるとは思わなかった。

恋とは、いささか気難しきものである。

5分以内に5RTされたら鉢富で、お互いに意識しすぎて無言の状態が続いて気まずくなってるシーンを描きます。


prev/next



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -