昼食はパンやスクランブルエッグといった洋風なメニューだったのだが、夕食に出てきたのはご飯中心の和食。


手伝いを申し出たのはいいものの、一人暮らしをしているというだけあって、このキッチンに不慣れな私がやるよりもずっと手際よく調理をこなしていく樹さんに、結局ほとんどの過程を任せてしまった。

私がやったことと言えば、お皿を並べたりおかずを盛り付けたりといった如何にも「お手伝い」というようなことばかり。
料理は人並みに出来るという自信はあるが、今後暫く私の出る幕は無さそうだ。

物事は思ったようにはいかないな、と実感した。



口数の少ない食事を終えて、少し休憩。

その後、せめて食器だけはと申し出た私が皿洗いをしている間に樹さんが準備してくれていたお風呂へ。
熱めのシャワーを浴びて、湯船に浸かる。

部屋を片付けて、本を読んで、また少し会話を重ねて。
今日起こった出来事を頭にもう一度刻むようにして振り返りながら、お風呂を出た。


入れ替わりの際に掛けられた「待ってる必要はねぇから、先に寝てろ」という言葉に甘えて、そのまま寝室に向かう。


昨日とは違って綺麗に片付けられた部屋。
肢体を投げ出すようにベッドに寝転がって、ぼんやりと天井を見上げた。

(こうすると一気に疲れた感じがする……)

やはり知らない人――しかも男の人と、24時間一緒に過ごしているのだ。
無意識のうちに気が張っているのかもしれない。

勝手に住まわせてもらっておいてそんなことを言うのもおかしな話なのだが、こればっかりはどうしようもない。


少しずつでもいいから、慣れていければ。
もっとお互いのことを知っていけたら。

そうすればきっと、これからの日々は楽しいものになる。
与えられた99日間をどう使うかは私次第だからこそ、無駄にしたくはない。


「明日はちゃんと……起きな、きゃ」


身体がベッドに沈んでいくような感覚の中、瞼を閉じた。


...to be continued

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