「マスターと要さんについて、聞いてもいいですか?」
「あの二人か……。まずマスターについてだな。まあ俺らと会う前に色々聞いてるとは思うが、この世界の案内人だ。それ以外にも色々やってるらしいが、あの人についてはいつもああいう態度だから俺もよくは知らねぇ。俺に聞くより本人に聞いた方が早いかもな」
なるほど、マスターについては樹さんもよく知らないらしい。
(樹さんにとっても、謎の多い人という印象なんだな)
はぐらかすのが上手いというか、文字通り道化師のような人なのだろう。
「じゃあ要さんはどうですか?」
「これももう知ってると思うが、要さんは今日俺たちが集まったレストランのオーナー兼シェフをしてる。年齢はよく分からねぇけど、俺やお前よりは確実に年上だ。常に余裕があるというか、いかにも大人って印象の人だな。この人のついても知らねぇことばかりだから、俺から言えるのはこの程度だな」
樹さんの説明を聞いて、ふと要さんとの会話を思い出す。
――俺を選んでくれても、良いんですからね
(確かに、いかにも大人っていう感じかも)
二人共自分のことをあまり明かしたがらない人という印象だったが、それは私に限らず夢の世界の住人皆が感じていることなのかもしれない。
もしまた会う機会があったら、次は誤魔化されないように粘り強く質問してみよう。
「他に聞きてぇことは?」
「あとは……」
→樹さんの趣味について
→他の三人について
→特に無い
bkm