「今日集まってくださった樹さん以外の三人について、聞いてもいいですか?」


同じ世界にいるのだからどこかで会うこともあるかもしれないし、何より純粋に興味がある。
それに樹さんと常葉さんは同じ自警団の所属だと言っていた。
何にせよ、彼らのことも知っておくに越したことは無いだろう。


「一応全員と話はしたんだよな?」
「はい、樹さんと同じ程度には」
「そうか。じゃあ取り敢えず……そうだな、常葉さんから話すか」
「お願いします!」

「ああ。あのときも言ったが、常葉さんは自警団の団長で俺の上司に当たる人だ。俺のことを買ってくれてるのか、たまに直接武術の稽古をつけてもらってる。本気で振るってる姿を見たことはねぇけど、剣の腕前は相当だ。性格や背景の異なる団員たちをたった一人でまとめ上げてる、本当にすげぇ人だよ。たまに抜けてるところもあるにはあるんだが……まあそれは追々話していけば分かるだろ」


最後の部分は少し気になるが、常葉さんについての大体のことは掴めた。

(樹さんの尊敬してる人ってことだよね)

同じ職場でしかも稽古をつけてもらっているということは、樹さんと関わる機会が三人の中でも比較的多い人なのかもしれない。


「じゃあ次は七瀬さんについて聞いてもいいですか?」

「これもまあ聞いたと思うが、七瀬は研究者をしてる。そうだな、年齢的には恐らくお前と同じくらいだろ」
「え!? 私これでも17歳ですよ……!?」
「ああ、じゃあ同い年かもな。見た目からして信じられねぇけど、あれでも研究所のトップだ。立場的にも色々苦労はあるんだろうが、アイツの偏食っぷりは正直見てらんねぇ。口は悪いが、まあもしどっかで会ったら話してやれよ」

「出来たら、頑張ってみます……」


まさか七瀬さんが私と同い年だったなんて、とんでもない事実が発覚してしまった気がする。
その他レストランで話したときの様子を思い返しながら樹さんの説明とすり合わせてみると、確かに偏食っぷりや口の悪さについては間違いないだろう。

(七瀬さんのこと、結構気にかけてるんだな)

もしかしたら樹さん的には弟のような感じなのかもしれない。


「えっとじゃあ最後に、伊吹さんについてお願いします」

「あー、あの人は……見た通りアイドルをしてる。まあ、天職だろ。歳は俺より上だ。あのテンションの高さがどっから来てるのかは分からねぇけど、いつもあれだ。人に変なあだ名付けんのが趣味……だと俺は思ってる。私生活については知らねぇけど、多分そのままだろ」

「な、なるほど」


あだ名をつけるのが趣味だと思われるなんて、二人は一体どんな会話をしているのだろう。
少し気になるが、「変なあだ名」と表現するということは。

(伊吹さんのことは、あまり得意ではないのかも……)

認めている部分もあるようだが、樹さんの性格から考えて苦手意識もあるのかもしれない。


「まあこんなもんだろ。他に何かあるか?」
「じゃあ……」

 →樹さんの趣味について
 →マスターと要さんについて
 →特に無い



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