「樹さんは趣味とかあるんですか?」


好きなことを聞くのは、初対面の人との会話で一番無難な質問だろう。
趣味であるということは、普段の生活の中でそこに一定の時間を割いているということでもあるし、それこそ一緒に生活していく上で知っておくべきことだと思う。


「趣味、か……」


そう呟いて宙を見上げた樹さん。
普段の生活を思い起こしているのだろう。
少しの間の後、口を開いた。


「基本的に空いてる時間は仕事、だな。自警団での仕事はやりがいもあるし、周りに頼られることは嫌いじゃない」
「えっ、じゃあ趣味は仕事ですか!?」


年もあまり変わらないようだし、音楽を聴いたり運動したりしているのかなという私の予想とは異なり、返ってきたのはそんな味気無い答えだった。
仕事が趣味だなんて、かなり珍しい気ような。


「まあそれ以外でって言うなら……そうだな。本を読んだり勉強したりしてることが多いかもな」


驚きを隠せないといった私の様子を見てか、樹さんはそんな言葉を付け加えた。


「勉強? まさか、ここにも学校とかあるんですか!?」
「別に学校で勉強してるわけじゃない。ただダラダラ過ごすより、何か知識を身に付けてる時間の方が落ち着くだけだ」


趣味は仕事と勉強と読書、ということらしい。

(樹さんって、ちょっと変わってるのかも……)

でもよくよく考えてみると部屋にはゲームや漫画のような娯楽系の物は見当たらないし、仕事にやりがいを感じているのであればストレスなんかも溜まらないのかもしれない。


「何か他に質問は?」
「えっと……」

 →他の三人について
 →マスターと要さんについて
 →特に無い



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bkm

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