そうして、お互いオレンジジュースを飲むだけの小休憩をとった私と樹さん。
ぼんやりとリビングを見回すことで沈黙に耐えていたが、そろそろそれも限界が近かった。
(何か話題、振った方がいいよね)
これから沢山お世話になるのだからこの程度軽くこなさなければと思う反面、出会ったばかりだからこそ何を話していいのか分からない。
そんな中先に口を開いたのは、意外にも樹さんだった。
「さっきも言ったが、俺の名前は樹。歳は19。見た通り男だ。自警団で事務の仕事をさせてもらってる」
「……え?」
何の前触れもなく始まった自己紹介に、宙を漂わせていた視線を慌てて樹さんの方へと向ける。
流し目がちらりとこちらを見た。
「一緒に住む以上、相手の情報は知っておくべきだろ」
「あ、なるほど」
確かに樹さんの言う通り、互いに見知らぬ人間同然の状態で共同生活が成り立つとは思えない。
これからの生活についてきちんと考えてくれていたことに、驚きと安心感が胸を占めた。
「何か他に質問は?」
「え、えっと。じゃあ、樹さんは夢の世界に住んでいるんですか?」
「そうだ。正確には夢の世界の一部であるこの家に、だけどな」
まさに夢の世界の住人というわけだ。
(雲の乗り物やカラフルな建物を見て、ある程度は受け入れていたつもりだったけど……)
「何だか不思議ですね」
「夢なんてそんなもんだろ。他には?」
樹さんの言葉に確かにそうかと納得する。
折角の機会だ。
これからの99日を充実させるためにも、聞けることは聞いておこう。
「それじゃあ……」
→樹さんの趣味について
→他の三人について
→マスターと要さんについて
→特に無い
bkm