この世界を支配しようと目論んでいる魔王と、

それを阻止しようと働いてる俺、職業は騎士。


王国と王女に忠誠を誓い、この国を一騎士としてずっと守ってきた。
その心は勿論、今でも変わっていないし変わることもない。

けれど。
謀反以上の行為を、俺はすでに犯している。






「もう来てくれないかと思ったよ」
「………勝手に決めてくれるな」


辺りは闇一面。真っ暗で自分の姿を捉えるのですら中々な光の射さない場所で。
俺は、闇の中に捉えた気配に向かって話しかけた。

俺の問いかけに、闇に溶け込みそうな程黒が似合う声色をした人物が応えた。


「ふふ、ごめん。 けど、嬉しいよ。来てくれて。」
「・・・貴様が来いと言ったのだろう」
「そうだね。約束、守ってくれてありがとう」

俺の言葉に、空気が微動する気配を覚えた。
何か気に障る事を言ってしまったのだろうか。

「……やく、そく…?」
「?、ああ。此処に来てほしいって言った俺の言葉、守ってくれたろ?」
「・・・やくそく…。」

幼子の様な口調でもち、目の前の人物がその言葉を繰り返す。
…何だかかわいい。

「だから、嬉しいんだ。君が、俺との最初の約束、守ってくれて。」
「…………、」


彼はそれ以上何も言わなくなってしまった。
何を考えて、何を思っているのか。全く分からないけれど、どうやら怒っているわけではなさそうで少し安心した。


彼と過ごして10分程経った頃。
もう行くと言う彼の腕を引っ張り ――、


「、な……」
「これ、次の約束の証。」

決して女のソレの感触では無いものを唇に押し当て。

「次は、君から。」

次も、守ってくれると嬉しい。
そう付け足すと、俺から即座に離れていった気配は、闇を震わせ消えた。






俺はすでに、謀反以上の行為を犯している。
いつかこの罪が、君を殺すという行為で償われる日がくるだろうか。
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